中国の人民元が連日下がってますね!直近1年での安値を簡単に割り込んでしまいました。このままのペースだと5年来の安値も割りそうな勢いです。中国は大丈夫なのでしょうか?
人民元安止まらず、金融緩和観測背景に 中国株は下げ止まりの兆し
2018年7月24日 21:00中国の通貨、人民元の下落に歯止めがかからない。24日の上海外国為替市場では一時1ドル=6.8295元まで下落し、2017年6月以来約1年1カ月ぶりの元安・ドル高水準をつけた。米国との貿易戦争を踏まえ、中国人民銀行(中央銀行)が流動性供給拡大に続き、預金準備率の引き下げなど追加金融緩和に踏み切るとの観測が元売り・ドル買いを誘っている。中国株は財政出動への期待から上昇に転じた。
人民銀は24日朝、為替取引の目安となる基準値を1年ぶりの元安水準に設定した。当局者は通貨安誘導の思惑を否定するが、元安をけん制する発言も少なく、「緩やかな元安を容認している」との観測が元売りに拍車をかけている。トランプ米大統領は中国が意図的に通貨安に誘導していると批判を強める。
もっとも、急ピッチな元安は資本流出の思惑を招きやすく、当局のかじ取りは一段と難しくなっている。
一方、中国の株式相場には下げ止まりの兆しも出てきた。24日の上海総合指数は前日比1.6%高で取引を終えた。上海株は中国経済の減速や米中貿易戦争の影響を懸念して年初のピークから2割下げてきたが、中国政府が景気に配慮する姿勢を鮮明にしたことで、セメントなどインフラ関連株などを買い戻す動きが出ている。
目次
人民元に危険な兆候?前例にない下落の速さ?
米ドルと人民元のチャートを見ましたが、確かにこれは危険な兆候ですね。水準としては2017年初頭と大体同じくらいですが、下落のスピードが前例にない速さです。2015年の中国ショックでもこのような動きは見られませんでした。
でも、中国株は上がっているんですよね?変なの~。
人民元の発行量を増やして、株価を支えているのかもしれませんね。そういう観測が出るだけでも市場は動きますので、当局の介入を見越して買いが入っている可能性もあります。通貨が下落し株価が上昇するというのは、悪性インフレの一歩手前と言えるでしょう。最終的には株も支えきれなくなり、債券と共にトリプル安になるかもしれません。
最後はインフレなのに株も下がっちゃうんですか?
通貨があまりにも安くなりすぎたら、そうなると思います。通貨の急落で原材料の調達が困難になれば、当然業績も悪化しますから。緩やかな通貨安なら企業も対応ができて業績に反映できますが、急激すぎると準備期間もなく一気に損失が膨らむ可能性があります。それ以上に市場がパニックになれば、ひとまず売ってリスクオフしようとする向きも強まりますし。人民元が危険だから株に逃げているという段階から、中国そのものが危険だという認識に移行するのはそう遠い話ではないです。
米国の対中貿易赤字がますます増えて逆効果?
そういえば、トランプ大統領はドルが強すぎるって文句を言っていましたよね。ここまで人民元が下がると、ドルがますます強くなってしまいませんか?
その通りです。中国としては最悪のタイミングで通貨安政策を実行している格好になります。米国政府に制裁してくれと言わんばかりの悪手だと思いますが、本当は意図した事態ではないのかもしれません。人民元の下落を止める術がなく、面子を保つための言い訳としている可能性すらありますね。米国は中国の内部事情など知りませんから、当然次に来る一手はかなり強烈なものになるでしょう。
うわ~・・・。本当は通貨がヤバいから助けてくれ、って嘆願すればいいのに。
そんなことを話したら、本気で政権が持ちませんよ。習氏はただでさえ急速に求心力を失いつつあり、ポスターに墨をかけられるなど笑えない事件も多発しています。見栄を張ってでも米国と対抗していることにしないと、中国政府の内部で争いが発生してしまうかもしれません。とにかく、今中国はとてつもない危機に見舞われていると思います。
苦しい展開ですね・・・。メンツってそんなに大事ですかね?ボクなら頭下げちゃうなぁ。
米中貿易戦争はどうなるの?
もう中国には打つ手がないように見えるんですが、打開策はあるんでしょうか?
率直に言えば、ほとんとありません。人民元をジャブジャブと刷って株価を買い支えないと、当座の資金調達にも悪影響が出ますから。先日はZTEが事実上の破綻で国営化されましたが、次はどこが破綻するか分からない状況です。資金調達に万が一失敗してハードランディングしてしまえば、それが本当に中国の終わりの始まりになるでしょう。その日を乗り切るのに精一杯なのが今現在の中国の状態だと思います。
その日暮らしってことですか?世界2位の経済大国なのに?
世界2位というのも本当かどうか非常に怪しいですが、それは置いておきましょう。中国は米ドル建ての借金も多く抱えており、一説ではその金額は3000兆円分にも達すると言われています。ドルが高くなり人民元が安くなれば、この借金を返すのにも一苦労するわけです。米ドルを枯渇させるだけで、中国は簡単に音を上げてしまうのです。
じゃあ、アメリカ政府は中国を追い込むために利上げしてるんですか?
表向きは景気が良くなったので、これ以上の金融緩和は必要ないと判断しての利上げです。いつまでも金利が低いままだと通貨の価値がどんどん下がってしまうので、行き過ぎたインフレを抑制するために調整しているのです。ですが、その裏では中国をいかに追い詰めるかという計算も働いているはずです。金利を引き上げるということは、つまり世界中からドルを回収するということなのですが、これで困るのは海外依存度が高い国やドル建て債務を多く抱える国ということになります。
でも、中国は米国債も沢山持っていますよね?全部売ったら借金返せるんじゃないですか?
それこそ中国を終わらせる引き金になると思います。中国の対外資産が消滅することになりますし、何より米国がそれを許さないでしょう。敵対的な売却で戦争を仕掛けていると認識されれば、どんな報復が待っているか分かりません。中国としては事を荒立てないようにするのが最善の策だったのですが、トランプ氏の関税政策によりそのシナリオが崩れてしまいました。トランプ氏の側近だった親中派のティラーソン氏が失脚したのも痛手でしたね。
うわ~・・・本当に八方塞がりですね。中国どうなっちゃうんだろう?