中国の研究者たちが「論文工場」と呼ばれる捏造論文の製作に関与しているという報道がある。中国は科学研究の分野で急成長しており論文発表数は世界第2位になっているが、研究不正が問題となっている。学術出版社は不正論文の増加に悩んでおり、学界は対応が求められている。

論文工場は報酬を得るために科学研究を捏造している。偽装手段は多様で、あからさまなコピーから巧妙な操作まで幅広く行われている。不正なデータや倫理的な問題があるため、担当者によっては5~10%程度の論文が拒否されている。

生物医学の専門出版社スパンディドスのジョン・チェセブロによれば「画像を回転させて違うものに見せかけたり、画像の一部をデジタル操作し細胞などを付け加えたり削ったりしている」という。仮説通りのデータを作り出すためだとされる。

中国の学界では論文数が重要視されるため、研究者は質よりも量を重視する傾向がある。その結果偽造論文が横行していると専門家は指摘している。また中国における組織的な研究不正が問題視されており、独立系研究者たちが疑わしい研究成果を監視している。

論文工場の収益は年間少なくても10億ユーロ(約1480億円)で、おそらくそれ以上だと推測されている。公開されている論文のうち偽造されたものの割合は2%から20%以上とさまざまな推定値があり、中国が最も多くの不正論文を出していると考えられている。

コメント欄では以下のような意見が並んだ。

・中国は技術がすごいとされるが、その多くは欧米からのコピー、盗用技術によるもの。最近では医療分野にも狙いを定めていると言われる。また中国人が偽装移民や市民権を得て、政治に影響を与えているという懸念もある。

・中国の論文は数が多いが、その質に疑問がある。複数の雑誌に同じ論文を投稿し、二重投稿違反を犯すことがある。また論文の結果をそのまま信じて引用すると問題が起こることがある。

・捏造論文の見破りは難しい。特に医療分野では重大な事故が隠ぺいされることもあり、他国からの信頼を得るのは難しい。

・中国人研究者の間で互いに引用し合って報奨金を得るシステムがあるため、論文引用数も多い。日本の学術分野も安穏としている状態ではない。

・中国の潤沢な研究資金は見習うべきだが、悪い部分を真似てしまえば日本もノーベル賞の受賞が難しくなる恐れがある。

・中国の技術は一部で躍進しているが、それは国策事業分野に限られており、民生品の技術は依然として二流である。例えば国際数学オリンピックでは優秀な成績を収めるが、フィールズ賞の受賞者がいない。

(黒井)

中国の研究者たちが「偽造論文」を世界中に撒き散らしている 英紙が「論文工場」の闇に迫る
https://news.yahoo.co.jp/articles/271701448e4110b71d160c92c7e61ae561e5622a