29歳インフル「アラサー以降の人生は“スピード&粘り”で決まる」 ⇒ 科学的にツッコミどころ満載www

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  • 心理学の研究では「速く決める人が勝つ」より「速さと正確さのバランス」が重要だと分かっています。
  • 30代以降でも転職・学び直し・キャリアチェンジは普通に起きており、「最初の一手」だけで人生は決まりません。
  • 粘り強さは大事ですが、それ以上に「環境・健康・まじめさ(誠実性)」など複数要因の組み合わせが成功を左右します。

はじめに

29歳インフルエンサー男性の「アラサー以降の人生は選択の“優劣”じゃなく“スピード&粘り”で決まる」という発言、そのまま信じるにはかなり危険です。実際のところ、人のキャリアや幸福度は、心理学・労働統計・人格研究など、さまざまなデータが絡み合って決まります。「8000人に奢った体感」だけでは見えないものも山ほどあります。今回は反論5選をぶつけてみます。煽りではなく、冷静にデータを見ながら「アラサー以降の人生」を考え直していきますw

 

反論5選

① 「速く決める人が勝つ」どころか、人間には“スピードと正確さのトレードオフ”があるw

インフル男さんの主張のキモは「いかに素早く選択したか」。
しかし、心理学・神経科学の古典的テーマとして有名なのが「スピード=正義」どころか、速く決めれば決めるほどミスが増えるという「スピード–正確さトレードオフ(Speed–Accuracy Tradeoff)」です。

  • 意思決定のスピードを上げると、誤判断のリスクが上がる
  • 慎重に情報を集めると時間はかかるが、精度は上がりやすい
  • このトレードオフは昆虫から霊長類、人間まで共通して観察される現象

神経科学の総説論文でも、「スピード–正確さトレードオフは、昆虫からヒトまであらゆる種で確認される“逃れられない性質”」と書かれており、時間を削って決断すればするほどミスが増えることが示されています。

結婚、住宅購入、転職、起業…
こういう「やり直しコストが高い」決断を「とにかく速く決めた人が勝つ!」と煽るのは、科学的にはかなり危うい発想です。

むしろ現実的な知恵はこんな感じです。

  • 「速く決める」より「締切を決めて、その中でよく調べて決める」
  • リスクが小さい分野ではサクサク試し、大きい決断は慎重に
  • スピードを競うゲームと、人生の土台になるゲームは切り分ける

「速さ至上主義」は、一部のビジネスシーンでは刺さるスローガンかもしれませんが、人生全体にそのまま適用するのは乱暴すぎますねw

 

② 「選択の質じゃない」どころか、研究では“まじめさ&計画性”が超重要と判明している

男さんは「いかに優れた選択をするかでは決まらない」と言っていますが、人格研究の大きな流れはむしろ逆です。

トロント大学の大規模研究では、ビッグファイブ人格特性のうち
「誠実性(Conscientiousness:まじめさ・計画性・責任感)」
が職場での成果を最もよく予測する非認知特性だと報告されています。

誠実性が高い人は…

  • 目標設定をきちんと行う
  • 情報を集め、リスクも見積もったうえで行動する
  • 約束や締切を守り、コツコツ継続する

という特徴があり、「選択の質を高める」行動を日常的にやっています。

さらに、アンジェラ・ダックワースらの研究が有名な「グリット(やり抜く力)」も、長期的な学業成績や軍隊の離脱率などを予測することが多数報告されています。

ここから見えるのは、

  • 「適当に速く選ぶ」よりも「ちゃんと考えたうえで粘り強く続ける」人の方が成果を出しやすい
  • 意思決定の“質”を上げる人格特性(誠実性・グリット)は、現実の成果と結びついている

という、男さんの主張とはだいぶ違う絵です。
「選択の質なんてどうでもいい、スピードと粘りだけ」と言い切ってしまうのは、研究の積み上げと矛盾してしまいますね。

 

③ 30代以降で「一度選んだ道を貫く」より、普通に何度もキャリアを変える時代です

「アラサー以降は、選択の質より“選んだものを粘り強く工夫するかどうか”だ」と聞くと、
「もう30過ぎたら、路線変更しちゃダメなのかな…」
と感じてしまう人もいるかもしれません。

しかし、最新のキャリア統計を見ると、現実はかなり違います。

  • 米国では、平均的な労働者は生涯で約12回仕事を変えると報告されています。
  • 2024年には約59%の社会人が「新しい仕事探しにフォーカスしている」と回答しており、前提からして「転職前提社会」です。
  • 25〜44歳がキャリアチェンジの中心層で、アラサーはむしろ“動きやすい世代”。

つまり、30代以降でも「一度決めた道を貫く人」より「環境に合わせて何度も方向転換できる人」が大量に存在し、成功・幸福を得ているということです。

粘り強さはもちろん重要ですが、

  • 市場や業界がごっそり変わる
  • ライフステージ(結婚・出産・介護など)が変わる
  • 健康状態が変わる

こうした変化に合わせて「戦略自体を変える柔軟さ」も同じくらい重要です。
「一度選んだらあとは粘るだけ」という発想は、むしろ現代のキャリア観とはズレていると言えます。

 

④ 「8000人に奢った観測」はエンタメとしては面白いが、“データ”としてはかなり弱い

「8000人に奢った経験から言うと…」というフレーズは、インパクトがあってエモいですw
ただし、統計・科学の視点からはツッコミどころがたくさんあります。

  • サンプルが偏っている可能性  奢ってもらえる人=特定のコミュニティの人・SNSで絡んだ人などに偏っている可能性が高いです。
  • 「明るいアラサー」だけ見て「粘り強い」と決めつけている  そもそも「暗いけど粘り強い人」「明るいけどすぐ諦めがちな人」もいるはずなのに、見えていない。
  • 成功している人ほど目立つ“生存者バイアス”  うまくいった人の話だけ大きく耳に入り、うまくいかなかった人の話は流れやすくなります。

この「観測から言うと~っぽい」という言い回しは、科学論文っぽい雰囲気を出してきますが、
実際は「知り合いの話を聞いての体感」にすぎません。

しかも、アンジェラ・ダックワースらの最新研究は「どんな変数でも、そのとき注目しているものが“過大評価されやすい”」という「効果の過大視」(effect size magnification)に注意すべきだと指摘しています。

「自分の経験では〇〇が大事だった」
→ それが人生のすべての鍵に見えてしまう、という人間のクセがあるわけです。

8000人に奢ったこと自体はすごいですが、そこから「人生の一般法則」を導き出すのは、さすがに飛躍しすぎと言わざるを得ません。

 

⑤ 「粘り強さ」は超大事。でも、同じ研究分野は「やめどき」も同じくらい大事だと言っている

男さんの「粘り強く工夫していけるか」という部分は、正直かなり本質を突いています。
グリット研究でも、「長期目標に向けて情熱と努力を続ける人」が学業や仕事で成果を出しやすいことは複数の研究で示されています。

ただし、ここで重要なのは、「何でもかんでも粘ればいい」ではないという点です。

  • 誠実性・グリットが高すぎる人は、ダメな上司やブラック環境から離れづらく、メンタルを壊すリスクもある
  • 市場構造が変わりきった業界で“過去の成功体験”に粘ると、むしろ沈みやすい
  • 研究者の間でも「グリットだけが成功の鍵ではない」「知能・環境・サポートなど、他の要素も重要」という議論が続いている

トロント大学の研究でも、「誠実性はかなり強い予測因子だが、複雑な仕事になるほど、知能や他の特性との組み合わせで見る必要がある」と指摘されています。

つまり、人生をちゃんと守りながら成果を出すには、

  • 良さそうな方向を選ぶ “判断の質”
  • 選んだ方向に対して工夫し続ける “粘り強さ”
  • ダメだと思ったら方向転換する “やめる勇気と柔軟性”
  • 自分を守る “健康・休養・人間関係”

など、いろんな要素を同時に回す必要があります。

「スピード&粘りだけが正義」と聞いてしまうと、まじめな人ほどブラック労働や無謀なチャレンジに突っ走りがちなので、ここはあえて強めに反論しておきたいポイントです。

 

質疑応答コーナー

セイジ
結局、若い頃から秒速で決断して経験値稼いだやつが一番強いってことじゃないっすか??

プロ先生
「何も考えずに秒速で決める」は、ただミスを量産しやすいだけなんですよね。さっき話したように、人間にはスピードと正確さのトレードオフがあるので、速さだけを追うと質が落ちます。大事なのは「情報を集める→期限を決める→その中で決める」というリズムです。

セイジ
でも、自分みたいに決断遅めの人間は、もうその時点で負け組って感じしちゃいますね…それってどうなんすか??

プロ先生
決断が遅めの人って、裏を返せば慎重でリスク管理が得意なタイプでもあります。誠実性が高い人は、ちゃんと準備してから動くので、結果的に「一発一発の当たり率」が高い傾向があるという研究もあります。もし「遅いな」と感じるなら、いきなりスピードを倍にするんじゃなくて、「情報を集める期限」と「決める期限」をカレンダーに書くくらいからで十分です。

セイジ
一度選んだ仕事とか趣味を、しんどくても続けた方が“粘り強いアラサー”になれて勝ちってことじゃないっすか?? やめたら負けっすよね??

プロ先生
「やめたら負け」という発想自体が、かなり危険です。研究でも、30代〜40代でキャリアを変える人はたくさんいて、その理由の多くは「より自分に合う仕事」「ワークライフバランス」を求めてのことです。粘り強さは「目標」ではなく「自分が本当に大事にしたい方向」に対して発揮するものです。

 

まとめ

  • 人生は「速さだけ」でも「粘りだけ」でも決まらず、意思決定の質・粘り強さ・やめどき・環境など複数要因の掛け算で動きます。
  • 統計を見ると、30代以降でもキャリアチェンジや学び直しは当たり前で、「一度の選択」で人生がロックされる時代ではありません。
  • インフルエンサーの体感トークは面白いですが、鵜呑みにせず、データと自分の状況を冷静に見て「どこで粘るか」を選ぶのが賢いアラサーへの近道です。
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