- 「分かりやすく説明できる=ほんとうの頭の良さ」は一部しか当てはまらず、事実とも矛盾が多いです。
- 理解できない原因は「説明する側の能力」だけでなく、「聞き手の前提知識」「状況」「テーマの難易度」などが絡みます。
- 「404エラー理論」で自分を守るのはアリですが、それを絶対視すると、学びのチャンスをかなり損します。
目次
はじめに
浮浪者の友人が語った「『ほんとうに頭のいいひとは、分かりやすく説明できる』は404 Not Foundの亜種。多くのひとはわたしに理解できないことは、説明する側の能力不足であり、わたしがアホなわけではないと思いたい」という説は、分解してみるとツッコミどころ満載です。
たしかに、「理解できなかった=自分がアホ」だと感じるのはつらいので、「説明が悪いだけだ!」と考えたくなる気持ちは、人間の心理として理解できます。ですが、それを一般論にしてしまうと、「分かる/分からない」の原因をすべて他人のせいか、自分のせいかの二択に押しこめてしまい、現実の複雑さからズレてしまいます。ここでは、実際の教育学やコミュニケーション研究で分かっていること、そして日常的な経験則をもとに、友人の説に対する反論を5つ紹介します。
反論5選
① 「分かりやすさ=頭の良さ」ではないw 能力の種類をゴチャ混ぜにしている
まず一番大きなポイントは、「頭の良さ」をひとまとめにしてしまっていることです。
実際には、
- 情報を早く正確に処理する力
- 抽象的な問題を扱う力
- 他人の立場に立って考える力
- 言語化して伝える力
など、能力はいくつも種類があります。
「分かりやすく説明できる」というのは、その中でも
- コミュニケーション能力
- 教育的なスキル
にかなり寄った能力です。
つまり、
- めちゃくちゃ頭が切れる研究者だけど、説明は正直うまくない
- そこまで専門的な知識はないけど、人に教えるのは抜群にうまい
というパターンが普通に存在します。
「説明がわかりにくい=頭が悪い」と決めつけるのは、能力の多様さを無視した乱暴な話です。
② 理解度は「聞き手の前提知識」との相性で激変する! 全部を説明者のせいにするのは無理ゲーw
友人の説だと、「わたしが理解できないのは、説明する側の能力不足ではないとしたいからエラーが出る」という構図になっていましたが、そもそも理解度は「聞き手の前提知識」に思いっきり左右されます。
- 小学生に大学レベルの数学をどれだけ丁寧に説明しても、前提が足りなくて理解できません
- プログラミングの経験ゼロの人に、バグの話をしても「???」になりやすいです
- 専門用語が多すぎると、そもそも日本語なのに別言語に聞こえます
このとき、
- 説明する側:できるだけ噛み砕く努力をする
- 聞く側:分からないところを質問する・前提知識を補う
という両方の努力が必要です。
それを全部「説明する人の能力不足」か「自分の頭の悪さ」かの二択にしてしまう時点で、友人の404理論は現実のコミュニケーションの複雑さを切り捨てています。
③ 「理解できない=自分はアホ」は極端すぎる! 得意不得意と学習段階を無視している
友人の話の裏には
説明が分からない=自分がバカと言われている気がする
という感覚が見え隠れしますが、これ自体がけっこう思い込みに近いです。
現実には、
- 数学は苦手だけど、文章を書くのは得意
- 人前で話すのは苦手だけど、資料づくりはうまい
- 抽象的な話は苦手だけど、具体的な作業はめちゃくちゃ早い
など、人によって得意分野は違います。
しかも、初めて触れる分野は、どんなに賢い人でも最初はよく分からないのが普通です。
「理解できない」瞬間というのは、
- たまたま前提知識が足りなかった
- 説明の順番がその人に合っていなかった
- 単にその日は疲れていて集中できなかった
など、いろいろな要因が重なった結果です。
それを
- 自己防衛のために全て「相手のせい」にする
- 逆に全部「自分がアホだから」と受け止める
どちらも極端で、どちらも現実を歪めます。
④ 「404エラー理論」はむしろ、自分の心理バイアスの説明としてはアリw でも事実の一般化としてはアウト
ここは友人にちょっとだけ花を持たせてもいいポイントです。
「理解できないときに、『相手が悪い』か『自分が悪い』かで心が揺れる」という話は、心理学的にはそれなりにそれっぽいです。
人間は、
- 成功したときは「自分のおかげ」
- 失敗したときは「環境や他人のせい」
にしがちな自己奉仕バイアスを持っています。
なので、
学歴や権威のある人の説明が分からない
→ 本当はついていけてないかも…
→ でも認めたくない
→ 「この人、説明下手だなw ほんとうの意味では賢くないわ」
という心の動きは、「こういうバイアスが働いている可能性がある」としてなら理解できます。
ただし問題は、これを
- 「ほんとうに頭のいい人の正体は分かりやすく説明できる人だ」
- 「だから、それ以外の説明は404エラー」
と世界の一般法則みたいに語ってしまうことです。
自分の心の動きの説明としてはアリでも、他人や社会全体に当てはめる「真理」として語ると、一気にズレます。
⑤ 「分かりやすい=正しい」「分かりにくい=バカ」は超危険! 陰謀論や詐欺が喜ぶ思考法ですw
最後に一番大事なポイントです。
もし本当に、
- 分かりやすく説明できる人=本当に賢い人
- 分かりやすくない説明=ダメな説明・ダメな頭
というルールを採用してしまうと、
いちばん得をするのは「分かりやすいけど中身が薄い人」や「都合のいいウソを語る人」です。
- 陰謀論は、やたらとストーリーが分かりやすいです
- 詐欺師は、聞いていて気持ちいい言葉だけを並べます
- ポジショントークも、都合の悪い事実を省いて説明が「分かりやすく」なっています
質疑応答コーナー
セイジ
でも、説明がめちゃくちゃ分かりやすい人って、やっぱ一目置きたくなりますよね??
プロ先生
そうですね、分かりやすく説明できるのは、立派な能力ですし、尊敬していいポイントです。ただし、「分かりやすい=全部正しい」「分かりやすい人=ほかの人より絶対に賢い」とまでは言えません。分かりやすさは「評価の材料のひとつ」であって、「唯一の基準」にしてしまうと、逆に騙されやすくなってしまいます。
セイジ
逆に、自分が理解できなかったときって、『自分がアホなのかも』って落ち込むのも良くないんすか??
プロ先生
「自分の理解が足りないかも」と一度疑ってみること自体は、とても健全です。でも、そこで自己否定モードに振り切らないことが大事です。「自分の前提知識が足りないのか?」「説明の仕方が合わなかったのか?」「今日の自分の集中力の問題か?」など、原因を細かく分けて考えると、建設的になります。
セイジ
じゃあ『ほんとうに頭のいい人は分かりやすく説明できる』ってフレーズ、どう扱えばいいんすか??
プロ先生
こう考えるといいと思います。「説明が分かりやすい人=コミュ力や教育的センスが高い、すてきな能力を持った人」「でも、それだけで頭の良さ全部を測るのはやめよう」という感じです。
まとめ
- 「分かりやすく説明できる=ほんとうの頭の良さ」というのは一部しか当てはまらず、能力をひとまとめにしすぎた考え方です。
- 理解できないときの原因は、「説明する側」「聞く側」「テーマの難しさ」などが絡むので、誰か一方だけを悪者にしないほうが現実的です。
- 「404エラー理論」を絶対視せず、「分かりやすさ」と「正確さ」の両方を見ながら、自分の学び方と他人の評価軸をアップデートしていくことが大事です。































