- 「自分の機嫌は自分で取れ」と言う人ほど、自分の不機嫌には鈍感で他人にこぼしがちです。
- 機嫌は「完全セルフサービス」ではなく、人間関係の中で相互に影響し合うものです。
- 好かれる人は「不機嫌ゼロ」よりも「不機嫌に気づいて修正できる人」です。
目次
はじめに
「自分の機嫌は自分で取れ」って、聞こえはめちゃくちゃカッコいいフレーズですよね。自立していて、他人に依存していなくて、情緒も安定していそうに聞こえます。ところが実際の現場では、この言葉をドヤ顔で語る人ほど、自分が不機嫌になったときだけはまったく気づかず、無自覚に空気をぶっ壊してしまうことが少なくありません。「9000人に奢った」と語る29歳インフルエンサー男性の観察も、そうしたリアルな人間模様を突いているからこそ、多くの人が「いや、それなw」と共感しているのでしょう。ここでは、人間関係や心理学の知見をまじえつつ、その発言が的確な理由を5つの事実としてまとめていきます。
1:「自分の機嫌は自分で取れ」と言う人ほど、じぶんの不機嫌に盲目になりがちw
一見、「自分の機嫌は自分で取れ」と言える人は自己管理ができているように思えます。でも、よく観察すると
- 他人が落ち込んでいるときは「甘え」扱いする
- 自分が疲れているときは無言で不機嫌オーラを撒き散らす
- それを注意されると「え、別に怒ってないけど?」と言う
というパターンが少なくないです。
これは心理学でいう「バイアス」の一種で、他人には厳しく、自分には甘くなってしまう典型例です。
「自分の機嫌は自分で取るべき」と主張することで、「俺はちゃんとしてる側」というポジションを取りたくなる一方、自分の不機嫌にはラベルが貼れないので「ただちょっと疲れてるだけ」「周りが気を利かせろよ」と思いがちです。
その結果、
- 他人の不機嫌:説教対象
- 自分の不機嫌:周囲が察して当然
というダブルスタンダードが完成します。
こうなると、周りからするとかなりしんどい存在になってしまい、「結局あの人って、自分にだけ優しいよね…」と距離を置かれやすくなります。
2:機嫌は「漏れる」もの⇒自分で処理したつもりでも、表情と空気に全部出てるw
「自分の機嫌は自分で取るから大丈夫」
と言っていても、人間の機嫌は
- 表情の微妙なしかめ顔
- ため息の回数
- 返事のトーンやスピード
- 椅子を引く音の荒さ・物の置き方
などにガッツリ出ます。
本人は「何も言ってないから迷惑かけてない」と思っていても、周囲の人はその雰囲気に気づき、気を使い、疲弊していきます。
しかも人間は「感情が伝染する」生き物です。ネガティブな感情は特に移りやすく、職場や飲み会の場で一人でも不機嫌な人がいると、全体のテンションが下がっていきます。「自分の機嫌をじぶんで取ってるつもり」でも、周りにとっては「静かな暴風雨」のようなプレッシャーになっていることが多いのです。
つまり
「自分の機嫌は自分で取ってるからOK」
⇒「いや、空気に全部ダダ漏れしてますけどw」
というギャップが生まれてしまい、「無自覚に迷惑をかける人」として印象が悪化していきます。
3:「自分で機嫌を取れる人」ほど、実はまわりを大事に扱ってくれる
ここで誤解してはいけないのは、「自分の機嫌を自分で取る」という考え方そのものは、決して悪くないということです。メンタルのセルフケアや感情のコントロールは、とても大事なスキルです。
ただ、本当にそれができている人は、
- 自分が疲れているときほど予定を詰めすぎない
- イライラしているときに大事な話し合いをしないように配慮する
- 「今ちょっと余裕ないから、後で話でもいい?」と正直に伝える
- あとで落ち着いたら「さっきはごめんね」と自分からフォローする
という行動を取ります。
つまり「自分の機嫌を取る」というのは、「周囲に当たり散らさないよう事前に調整する」「こぼれたところは自分から片づける」という、かなり高度な思いやりでもあるのです。
逆に、口では「自分の機嫌は自分で取るタイプなんでw」と言いながら、
- 睡眠や休息を軽視する
- ストレス発散もせずに溜めっぱなし
- そのまま仕事・恋愛・友人関係に突入
となると、「自分で機嫌を取るどころか、爆弾を抱えて人ごみに突っ込んでいく人」になってしまい、「あの人と一緒にいると疲れる…」と距離を置かれやすくなります。
この差が、そのまま「好かれる人」と「なんか微妙に避けられる人」の違いになります。
4:好かれるのは「不機嫌ゼロの人」ではなく、「不機嫌に気づいて修正できる人」
多くの人が勘違いしがちなのは、「不機嫌にならない人が偉い」と思ってしまうことです。
でも、現実には
- 誰でも寝不足や体調不良の日はある
- 仕事や人間関係でイラっとする瞬間は必ずある
- 家族や恋人との問題を仕事に引きずることもある
といった具合に、人間である以上、不機嫌な瞬間は避けられません。
本当に信頼されるのは、
- 「あ、今ちょっと自分キレかけてるな」と自覚できる
- 「今はヤバそうだから、5分だけ席外そう」と調整できる
- 「さっきはキツい言い方してごめん」と後から言える
こういう「セルフモニタリング」と「修正」の能力がある人です。
一方で、「自分は機嫌をコントロールできる」と信じすぎている人ほど、
- 自分の不機嫌に名前をつけられない
- 周りに与えたダメージを軽く見積もる
- 「あいつらが気にしすぎなんだよw」と他人のせいにする
という流れになりやすく、じわじわと信頼を失っていきます。
結果として、「あの人って、付き合ってみると意外としんどいんだよね…」と噂され、距離を置かれることも増えていきます。
5:本当にラクな人間関係は「お互いの機嫌を一緒に管理するチーム戦」
「自分の機嫌は自分で取れ」という考え方がしんどくなる最大の理由は、「感情は完全に個人で完結するものだ」と錯覚させてしまう点です。
でも実際には、ラクな人間関係ほど
- 「今日ちょっと元気ないね、大丈夫?」と声をかける
- 「今しんどいから、話はまた今度でもいい?」と言える
- 「今日はテンション高いねw いいことあった?」とポジティブも共有する
- 「あのときイラついてたよねw でも正直でいいと思うよ」と笑い話にできる
といった「相互の気遣い」で成り立っています。
つまり、人間関係は
「機嫌は100%セルフサービス」ではなく
「基本セルフだけど、お互いちょっとずつ面倒を見る協力プレイ」
くらいが現実的で、しかも一番ラクなのです。
「9000人に奢った」というレベルで人と会っていると、
- 一緒にいてラクな人
- なんか疲れる人
の差が、ほぼ「感情の扱い方」で決まっていることに気づきやすくなります。
その意味で、あのインフルエンサーの観察は、かなり実感に根ざした「意外とガチな指摘」と言えるのではないでしょうか。
質疑応答コーナー
セイジ
「自分の機嫌は自分で取れ」って、やっぱ言わないほうが良いんすか??
プロ先生
言葉そのものが悪いわけではないですが、「それを自分に向けて言ってるか」「他人を責めるために使ってないか」がポイントですね。「相手を黙らせるカード」として使うと一気に嫌われます。「自分が疲れてるな、機嫌悪いな、よし一回リセットしよう」という自戒として使う分には、とても良い考え方だと思います。
セイジ
自分が不機嫌なときって、やっぱちゃんと「今ちょっと機嫌悪いっす」って言ったほうがいいんすよね??
プロ先生
正直に伝えるのは、かなり有効です。「今ちょっと余裕なくて、言い方きつかったらごめんね」と前置きしておくと、相手も「攻撃された」とは受け取りにくくなります。大事なのは、「不機嫌だから何しても許される」ではなく、「不機嫌だからこそ、相手に伝え方を工夫する」という姿勢です。それができる人は、不機嫌な瞬間があっても、むしろ信頼が増えていきます。
セイジ
逆に、周りに「自分の機嫌は自分で取れ」って言ってくる人がいて、地味にしんどいときって、どう距離取るのがベストなんすか??
プロ先生
まずは心の中で「この人は今、自分ルールを他人に押しつけてるだけだな」と整理しておくと、少し楽になります。その上で、必要以上に相談しない・期待しすぎない・関わる時間を少しずつ減らす、といった「静かな距離の取り方」が現実的です。
まとめ
- 「自分の機嫌は自分で取れ」と言う人ほど、自分の不機嫌には鈍感になりやすく、無自覚に周囲を疲れさせてしまいます。
- 本当に機嫌をコントロールできる人は、不機嫌ゼロではなく「不機嫌に気づいて修正し、フォローまでできる人」です。
- いちばんラクで好かれる人間関係は、「お互いの機嫌をちょっとずつ面倒見るチーム戦」だと理解している人たちの間に生まれます。





























