- 「やさしい=何も言い返さない」は、心理学的にはむしろストレス&うつのリスクを上げやすいです。
- 感情を飲み込み続ける人より、「関心を持って穏やかに反論する人」の方が心身の予後が良いという研究が多いです。
- “やさしさ”は無関心ではなく、「共感+境界線」を両立できるスキルであり、訓練で身につけられます。
目次
はじめに
29歳インフルエンサーの男性が「9000人に奢った経験からいうと、『やさしい人は無関心』と主張するひとほど、ぜんぶ言い返せずにストレス溜め込んで鬱病になりやすい。関心を持って反論した方が予後がいい」と語った、という話題がバズっていました。極端な言い方に聞こえますが、実は心理学やメンタルヘルスの研究と照らし合わせると「意外と筋が通っている部分」も多いです。「優しいから我慢するべき…」と思い込んで自分を削っている人にとっては、かなり重要な論点です。ここでは、科学的な知見やデータを踏まえながら、事実5選としてわかりやすく解説します。
事実5選
① 「優しい人ほど何も言えない」とストレス爆発ルート一直線!?
「やさしい人は波風を立てない」「相手を傷つけたくないから言い返さない」──これは一見、美徳のように見えます。しかし、心理学では「アサーション(自己主張)スキル」が低い人ほど、ストレス関連の不調や抑うつ症状を抱えやすいことが繰り返し指摘されています。
・嫌なことをされても「まあいいか」と飲み込む
・本当はNOと言いたいのに、毎回YESと言ってしまう
・モヤモヤを一切言語化せず、自分だけで処理しようとする
こうしたパターンが続くと、心のエネルギーがじわじわ削られていきます。最初は「ちょっとしんどい」レベルでも、長期的には睡眠障害、体調不良、抑うつ状態などにつながるリスクが高まります。
つまり、「優しいから黙っている」のではなく、「NOと言う技術を学んでこなかっただけ」の場合も多いのです。そしてそのツケを払うのは、ほかでもない本人自身という、かなりシビアな現実があります。
② 感情を抑え込むほど、メンタルも身体も壊れやすい!?
「言いたいことを言わない=大人の対応」と思われがちですが、感情を慢性的に抑圧することは、メンタルにも身体にもマイナスであることが、さまざまな研究で示されています。
・怒りや悲しみを表に出さず、ひたすら我慢する
・「自分さえ耐えれば丸く収まる」と思って飲み込む
・その場ではニコニコするが、後で一人で自己嫌悪&反芻思考
こうした「感情の抑圧」は、うつ病や不安障害のリスク上昇、心血管系のトラブルなどとも関連すると報告されています。
ポイントは、「その瞬間の空気は守れても、自分の心身は守れていない」ということです。
やさしさを装った自己犠牲は、長期的にはやさしさとは真逆の結果──「身動きできなくなった自分」を生んでしまいます。
③ むしろ“健康的な反論”が、人間関係を長持ちさせることが多い!
「反論する=喧嘩」「物申す=性格がキツい」と思い込んでいる人は多いですが、対人関係の研究では、むしろ「建設的に意見をぶつけ合える関係」の方が長期的に安定しやすいとされています。
・相手の人格を否定しない
・事実と感情を分けて伝える
・「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じた」と主語を自分にする
このような形での反論や異議申し立ては、関係を壊すどころか「この人は本音を言ってくれる」「信用できる」という評価につながりやすいです。
一方、何も言わないでニコニコしている人は、最初こそ「優しい人」と好印象でも、時間が経つと「何を考えているかわからない」「本音が見えない」と距離を置かれてしまうケースもあります。
つまり、「関心を持って反論する」ことは、単なる反抗ではなく、「相手との関係をきちんと作ろうとする行為」でもあるのです。ここはインフルエンサーの主張と、かなり重なるポイントです。
④ “無関心”はやさしさじゃない!? 単なる「心の自衛」のこともw
「優しい人は無関心」「スルースキルこそ最強」──こうした言説は一部で持ち上げられがちですが、実際には「傷つきたくないから、最初から距離を取りまくる」という防衛反応であることも多いです。
当然ながら、すべての無関心が悪いわけではありません。明らかに攻撃的な人や、何を言っても話が通じない相手に対しては、距離を取ることはむしろ正解です。
ただ、何に対しても最初から「どうでもいい」「関わらない」がクセになってしまうと、
・深い人間関係が育ちにくい
・「分かり合えた」という経験が得られない
・人生の満足度や幸福感が上がりにくい
といったデメリットも出てきます。
やさしさとは、「全部を許す」ことでも「全部から離れる」ことでもなく、
・相手に関心を持つ
・そのうえで自分の意見や境界線を伝える
この両立スキルに近いのです。
無関心でいる方がラクに見えて、実は「誰とも深くつながれず、孤立しやすい」という意味で、長期的な予後はむしろ悪くなる可能性があります。
⑤ 「関心を持って反論する人」の方が、メンタルの予後がいいという現実
インフルエンサーの「関心を持って反論した方が予後がいい」という主張は、かなりざっくりした言い方ではありますが、方向性としては研究と合致する部分もあります。
・感情を言語化して伝える
・嫌なことは「嫌だ」と境界線を示す
・相手と話し合うことで状況を変える試みをする
こうした行動は、心理学でいう「問題焦点型コーピング」「アサーティブなコミュニケーション」と呼ばれるもので、ストレスの長期的な悪影響を和らげることが報告されています。
もちろん、何でもかんでも噛みつけばいいわけではありません。
「相手を尊重しつつ、自分も尊重する」というスタンスでの反論・意見表明がカギです。
逆に、
・我慢して爆発する
・突然キレて人間関係を全部ぶっ壊す
・SNSで陰口や裏アカ愚痴に走る
といった方向に行くと、予後は一気に悪化します。
「優しさ」と「自己防衛」を両立させるには、
関心を持って相手と向き合い、そのうえで自分も守るための反論や拒否をする
という行動が、現実的かつ健康的な選択肢になります。
質疑応答コーナー
セイジ
優しいままで、ちゃんと反論もできるようになるって可能なんすか??
プロ先生
もちろん可能です。性格をゼロから入れ替える必要はなくて、「言い方」と「タイミング」の練習をするだけでも大きく変わります。例えば、いきなり強く否定するのではなく、「それはそうなんですけど、自分はこう感じました」とクッション言葉を挟むだけで、印象はかなりマイルドになります。
セイジ
NOって言うと人間関係が終わりそうで、ビビって言えないのって、やっぱ甘えなんすか??
プロ先生
甘えというより、「怖がる理由がちゃんとある」状態だと思います。過去にNOを出して嫌な経験をしたとか、怒鳴られたことがあるとか、何かしらの学習が背景にあることが多いです。ただ、すべてのNOが関係を壊すわけではありません。小さなことから丁寧に断って、「断っても関係が続く経験」を少しずつ積み上げることで、恐怖は和らいでいきます。
セイジ
SNSでマウント取ってくる人とかに、どこまで関心持って反論すべきっすかね??
プロ先生
これは線引きが大事です。対話が成り立ちそうな相手には、簡潔に意見を返しても良いですが、明らかに煽り目的の相手にまでフルパワーで向き合う必要はありません。すべてに反応するのではなく、「大事な人・大事なテーマ」にだけ関心とエネルギーを使うのが、賢いバランスの取り方になります。
まとめ
- 「やさしい=何も言わない」は、実はストレスと抑うつリスクを高める危険な思い込みです。
- 関心を持って穏やかに反論することは、人間関係を壊すどころか、信頼やメンタルの安定に役立ちます。
- 本当のやさしさは、「共感しつつ、自分の境界線も守る」スキルであり、練習と工夫で誰でも身につけられます。



























