ちょっと凄いことになってきました!トランプ政権が追加で2000億ドル相当の中国輸入品に関税付加を決めました。先週貿易戦争が始まったばかりなのに、もう追加で制裁を行うと決めたんですね。中国側が一向に態度を改めないから、ということですが…今からそんなに制裁額を増やしてしまったら、最終的にはどうなってしまうんでしょうか?
米トランプ政権 中国製品6031品目に関税上乗せへ
2018年7月11日 14時06分アメリカのトランプ政権は、中国からの輸入品に関税を上乗せする制裁措置で、さらに6031品目、金額にして2000億ドル規模を追加する手続きに入りました。正式に発動されれば、中国からの輸入品のほぼ半分に関税が上乗せされることになります。
トランプ政権は、中国が、アメリカのハイテク技術などを不当に手に入れて知的財産権を侵害しているとして、先週818品目、金額にして340億ドル規模の中国のハイテク製品などに25%の関税を上乗せする制裁措置を発動しました。
中国側が、直ちに同じ規模の関税を上乗せして報復してきたことから、アメリカ通商代表部は10日、さらに6031品目、2000億ドル規模の輸入品に10%の関税を上乗せする手続きに入ったことを明らかにしました。
今回の対象には、ハイテク製品だけでなく、豚肉やうなぎなどの食料品や衣類、家具、かばん、それに冷蔵庫など消費者向けの幅広い製品も含まれています。
ライトハイザー通商代表は声明で「中国は、法的な根拠無く報復を行った。残念だが中国はこれまでの行動を変えず、アメリカ経済の未来を危機にさらしている」と述べ、厳しく批判しました。
通商代表部が来月下旬に公聴会を開いたうえで、正式に発動が決まりますが、一連の措置で年間およそ5000億ドルの中国の輸入品のほぼ半分に関税が上乗せされることになり、米中の対立はさらに深まることになります。
■中国 対抗せざるを得ない
アメリカのトランプ政権が、中国からの輸入品に関税を上乗せする制裁措置を大幅に拡大する手続きに入ったことについて、中国商務省は、厳しい批判のコメントを発表し、対抗措置を取る方針を示しました。
この中でアメリカ側の措置について、「全く受け入れられず厳重に抗議する。アメリカの行為は、中国や全世界を傷つけるだけでなく、自分自身も傷つけるものだ」と指摘して、厳しく批判しました。
そのうえで、「中国は国家の核心的な利益と国民の根本的利益を守るため、これまで同様、必要な対抗措置を取らざるを得ない。同時にアメリカの単独主義的行為について、WTO=世界貿易機関に直ちに提訴する」として、アメリカに報復する対抗措置を打ち出し、WTOにも提訴する方針を示しました。
(以下略)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180711/k10011527701000.html?utm_int=all_contents_just-in_001
早すぎる引き上げのペース、トランプ大統領は大丈夫なの?
これで中国からの輸入額の半分に関税がかかることになりましたが、どうなっちゃうんでしょう?
行きつくところまで行くのではないでしょうか。米中双方とも一歩も引く姿勢がありませんね。特に中国は面子を重視する国ですので、こんな中途半端な所で引き下がって負けを認めるわけにはいきませんね。ですが、明らかに中国の方が対米輸出額が大きいわけですし、かなり不利な状況に置かれていると思います。
いや、ボクが心配なのはアメリカの方なんです。だっていきなり340億ドルに2000億ドルを追加してしまって、開始1週間でもう半分の規模ですよ?これでも中国が音を上げなかったら、次も追加で2000億、最後に1000億…もう全体の5000億ドルじゃないですか!トランプ大統領のカードがなくなってしまうと思うのですが。
そうですね。引き上げるペースが異様に早いとは思いましたが、勝算はあるのではないでしょうか。何しろこういった貿易摩擦は長引けば長引くほど体力が削られ、音を上げるところが出てくるわけです。今のところ中国のZTEが破綻したとか噂が流れていますが、一方の米国は特に被害を受けたという話は出てきていません。それにトランプ大統領は逃げ道を用意しています。米国に新たに工場を作れば、関税の対象から免除すると宣言しているのです。ハーレーダビッドソンや日本のキヤノンなどが既に申請を済ませたとの情報もあります。当然中国企業に対してはそのような特別な免除措置は用意していません。これで中国企業狙い撃ちの姿勢がより鮮明になるのです。
つまり、5000億ドルまで到達したらあとは時間との勝負ということ?すごい自信だなぁ~。
その通りです。トランプ大統領はちゃんと計算していますよ。安心してください。
世界経済への影響は?
株価なんですけど、上がったり下がったりしててよく分かりませんね…。ある意味パニック状態なのかな?
ドル円相場の上昇によるテクニカルの買いが入っていると思います。中国から資金が逃げ出し始めていて、ドル資産に変えている投資家が増えているわけですが、要するに人民元を売ってドルを買うことになります。世界中の通貨で同じ現象が起きているのです。円も例外ではなく、ここ最近では例をみないほどに売られ1ドル112円台に突入しました。普通の国ですと通貨の下落はよくない傾向として認識されるのですが、日本の場合は円が強すぎることにより損が出る世界でも特殊な国ですので、まさに願ったり叶ったりと言えるかもしれませんね。円安は当然株買い材料なので、日経平均株価は上昇しました。それにつられて中国の上海総合指数も上昇する、という連鎖反応が起きていますね。
それって貿易戦争と何か関係あるんですか?
貿易戦争が始まった、という事象自体はすでに消化済みの材料だと思います。その結果どこの企業が破綻した、どこの国の通貨が暴落した、という次の動きが出て初めてトレンドが形成されていくわけです。特に機関投資家は決まった期間内でパフォーマンスを出さないといけないため、何ヶ月も先の不安材料を考慮してトレードする可能性はほとんどありません。彼らの情報収集力は素人のそれとは比較になりませんから、何かが起これば真っ先に市場でポジションを持つことができると自信を持っているのです。
へぇ~。トレードって難しいんですね。貿易戦争がついに始まる!とか思って売ってしまうと損しちゃうわけか…。
世界中のトレーダーにとって国家間の政治は取引の材料でしかなく、上げでも下げでも儲けられるように相場とにらめっこしています。ただし、個人投資家にも強みはありますよ。機関投資家と違ってこの日までにこれだけの儲けを出さないといけない、という規則がありません。何年後かには上がるだろう、と思えば何年でも持っていられるのです。それに専業のプロトレーダーならともかく、大抵の人は限られた時間しか相場に張り付くことができません。長期投資こそが一番個人に向いていると言えるでしょう。
ワシは長期投資しかせんぞ。売ったり買ったりする阿呆ほど損するのが株だ。
何だか個人投資の指南コーナーみたいになっちゃいましたね(笑)。
中国はどう動く?
一方の中国も黙ってはいないようですね。対米の輸入額が少ないので関税を増やす方法では対抗できませんが、代わりに在中の米国企業に直接嫌がらせをするのではとの予測が出始めています。この辺りは別の記事で詳しく見ていきましょう。