トランプ政権が中国へのさらなる制裁に動きます。鉄鋼の関税に対する中国やEUの報復関税は不当だとして、WTOに提訴するようですね。報復に対する報復ということで、貿易戦争がますます激しくなりそうです。最悪の場合WTO脱退も検討しているようですが、トランプ大統領の思惑とは一体何なのでしょうか。
米が中国などWTO提訴
鉄鋼輸入制限の報復関税
2018/7/17 00:54【ワシントン共同】米通商代表部(USTR)は16日、米国が発動した鉄鋼とアルミニウムに高関税を課す輸入制限を巡り、中国や欧州連合(EU)など5カ国・地域の報復関税は不当だとして、世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを始めたと発表した。5カ国・地域にはカナダ、メキシコ、トルコも含まれ、米側は報復措置に一歩も引かない強硬な姿勢を鮮明にした。
USTRのライトハイザー代表は「貿易相手の一部は米国の労働者や農家、企業を罰する報復関税を選んだ。米国は自国の利益を守るためにあらゆる必要な行動をする」とコメントした。
もう中国だけではなくEUも信用できない?
すごい展開ですね・・・。やられたらやり返すを地で行ってる感じ。
うーむ、トランプ氏は男じゃのう。やると決めた事は必ず実行に移しておるな。有言実行できる指導者は頼もしいぞ。
ここまで強硬な姿勢を見せるというのは予想外でしたが、そこまでしてでも中国に報復をしなければならない理由があるのでしょう。中国は知的財産の侵害も平気で行いますし、貿易黒字だけの問題ではないような気がします。トランプ大統領はEUに関しても不信感を抱いているみたいですね。この前もNATOに対して軍事費をより多く負担しろと詰め寄りましたし、EU離脱をソフト路線に変更しようとした英メイ首相も批判していました。
えっ?じゃあ中国だけじゃなくてEUも敵に回すの??ちょっとそれは・・・。
以前からトランプ大統領とドイツのメルケル首相は仲が悪く、先日のG7でも安倍首相が困り顔で交渉にあたる写真が話題になりましたね。もうアメリカはEUと仲良くする意味をほとんど失っているのではないでしょうか。軍事的にも全ての地域の面倒は見切れませんし、そもそも位置的にロシアに近すぎますから。
最悪の場合WTO脱退も視野に?
それに、トランプ大統領は以前にWTO脱退も辞さないという発言をしています。WTOはアメリカを騙すための機関であり不公平な扱いを受けている、と。今回の提訴が万が一受け入れられないようなことがあれば、本当に脱退してしまうかもしれませんね。
WTOって脱退できるんだ!強制参加だと思ってた・・・。
WTOもWHOも加盟するものであって、自動参加でも強制加入でもありませんよ。WTOは現在164カ国が加盟していますが、ロシアは2012年まで加盟していませんでした。世界の反日200カ国近くあるので、加盟してない国が30近くあることになりますね。大した問題でないようにも思えてきます。
でも、主要国は全部参加してますよね?脱退したら関税とか不利になるんじゃ?
ルールに従わない国がルールのある国と貿易することになるので、関税は一律に上がるみたいです。それを防ぐために、トランプ大統領は二国間での交渉を各国でちらつかせているのでしょう。TPPのような多国間協定でなく、米韓FTAのような二国間協定がいいと考えているわけです。カナダやメキシコともNAFTAという協定がすでにあるのに別個に再交渉を言い出してますし、日本にも同じように何か求めてくるかもしれません。
ワシはTPPの方が自由があっていいと思うがのう。トランプ氏とはそこが合わん。
TPPなら中国にも対抗できそうですよね。離脱しない方がよかったんじゃ・・・?
そこは私も大いに疑問なのですが、TPPでは中国と戦うには不利だと考えたのかもしれませんね。12カ国あればどこかが中国に乗っ取られる危険性も高まりますし、現にオーストラリアやマレーシアは最近まで非常に危険な状態でした。日本にも親中のスパイが山のようにいますし、信用できるのはもはや自分の国だけだと思ったのかもしれません。下手をすればロシアゲートのように自分の方がスパイだと疑われてしまいますしね。
WTO脱退なら日本はどうすればいい?
でも、実際にWTO脱退しちゃったらTPPを主導する日本としては複雑ですね。どう接したらいいのか分からなくなりそう。
日本はこれから大きな決断をいくつも迫られると思いますよ。TPPを主導する立場なのは変わりませんが、それとは別にアメリカとの関係をどうしていくか。今までのようにアメリカに全面的に依存しながら国を守るわけにはいきません。経済の問題だけではなくなってくるので、また別の機会にしましょう。