中国人民元の下落が止まらず10年ぶりの安値に  中国からの大規模資本流出が懸念される

米中貿易摩擦が続く中、人民元が10年ぶりの安値を更新しました。1ドル=6.9560元となり、節目の1ドル=7元まであと一歩のところまで進みました。中国からの大規模資本流出が懸念されることに加え、米国に不当な通貨安を容認しているとして為替操作国指定を受ける可能性も取り沙汰されています。中国はどこへ向かうのでしょうか。

人民元、10年半ぶり安値=米中対立、激化も―資本流出に懸念
10/29(月) 19:00配信 時事通信

 【上海時事】中国経済の先行きへの不安から、人民元安が進んでいる。

 29日の上海外国為替市場の人民元相場は大幅反落し、大方の取引が終わる午後4時半(日本時間同5時半)には1ドル=6.9560元と、2008年5月以来の安値を更新した。

 米政府は今月17日、中国の「為替操作国」認定を見送った。2週間足らずの間に人民元が10年半ぶりの安値を付けたことで、貿易問題をめぐる米中の対立が一段と激化しそうだ。 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181029-00000106-jij-cn

米国は中国の為替安誘導を警戒している

10年ぶりの安値ですか?チャートを見たんですけど、ホントにすごいことになってます!

俺が見てるサイトでは6.96を超えてるんだけど、これは10何年ぶりの安値になるんだろう?

過去のチャートで確認できる限りは、2008年初頭は7.25でした。2005年頃までは8.27の固定レートを維持していましたので、そこまで下がる可能性は十分に考えられます。

そうなのか…。今よりももっと安い時期があったわけだ。逆の見方をすれば、米国にとっては通貨安の方が都合が悪いということになるね。

逆というより、米国は中国人民元を安値に誘導することをまさに警戒しています。過去に人民元が8.27だった時にも対米黒字が問題となり、切り上げを実施するために2005年に管理変動相場制へと移行した経緯があります。日本も過去には1ドル=300円の時代がありましたので、米国が同じように円高を迫った背景があります。

円ってそんなに安かったんですね!

その前は1ドル=360円の固定相場だぞ。米国がかつて日本にしてきたように、中国にも同じような圧力をかけている解釈でいいのかな。

でも為替操作国指定は見送られたんですよね?次回は危ないということですか?

見送った途端に一気に下げてきてるからな。これを米国が問題視しないという保証はどこにもない。

でも、人民元が安くなると資本流出の懸念もあるんですよね?

そう。中国のジレンマだな。本来なら対米黒字を減らすために人民元高に誘導すべきなんだけど、なぜか中国政府は逆に人民元安を容認するような姿勢を見せている。これでは米国に喧嘩を売っていると解釈されても仕方ないよね。

時事通信は「資本流出に懸念」と記事タイトルで書いてるんですけど、記事の本文にそのことが全く書いてありません!

確かにそうだな。まあ人民元安=資本流出という構図は自ずと分かると判断したようにも見えるけど、やや不親切かな。ちゃんと記事でも説明した方が分かりやすいよね。

中国当局は既に為替を制御できなくなっているという見方

ネットユーザーは、関税分を相殺するための為替操作ではないかと言ってます!

なるほど。対米黒字が減ると中国企業がまずいことになると吐露してるようなものだ。

あと、中国政府は為替をコントロールできなくなってるという指摘もあります!こんな記事が貼られていました。

意図せざる人民元安 中国異例の経常赤字に警戒感
2018/7/5 13:33

 中国の通貨、人民元が下落している。金融・資本市場では米国の保護主義的な通商政策への対抗策として当局が元安に誘導しているとの見方が一般的だが、株安との連鎖は気がかりだ。一部の市場関係者は「資本逃避の可能性を否定できない」と警戒している。

 人民元の対ドル相場は年初から4日までに約1.9%下落した。下げが加速した4月下旬以降の下落率は5%を超える。中国人民銀行(中央銀行)が突然、人民元の切り下げを発表…

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL05HB3_V00C18A7000000/

なるほど。確かに人民元安かつ株安というのは資本逃避の可能性が高いね。時事通信はそこをぼやかしつつ本音を書いたわけだ。

日本だと円安なのに日経平均が暴落してる状況ですよね・・・。確かにヘンです!

中国の人達がみんな株も売って人民元も売る。結果通貨安となる。これも当局が為替操作したと判断されてしまうんだろうか?

米国としてはそのような中国国内の事情などは知る由はありませんし、為替の動きだけが重要なのです。中国政府が為替を制御できてないのなら尚更問題です。米国としては中国が為替操作をしているという事実にのみ着目し、適切な判断を下すことになるかと思います。

じゃあ、もしアメリカの投資家が人民元を売って安値に誘導してたらどうするんですか?

米国政府は一切関知しません。人民元の安値を放置している中国当局に問題があると判断されるまでです。

なるほど…。ウォール街が人民元をガンガン売り叩き、ワシントンがそれを中国政府の為替操作の根拠にする可能性もあるというわけか。なかなかにタフな展開だね。中国政府は真っ当な勝負ができるとは考えない方がいいぞ。

だからワシは言っておる。米国を敵に回して勝てる国なぞ存在せんのじゃ。日本政府も十分に気をつけるべきじゃのう。

日中首脳会談は不発に終わったという見方

安倍首相なんですけど、結局日中首脳会談は不発という話で片付きそうです!これならトランプ大統領にも怒られないと思います!

韓経:安倍の米中二股外交…「中国の経済協力、実利なかった」
10/29(月) 9:40配信 中央日報日本語版

 日本の安倍晋三首相が日本の首相としては7年ぶりに中国を公式訪問し習近平中国国家主席、李克強首相と首脳会談をした26日。同じ時間に北京では両国企業関係者1000人余りが参加する中で「日中第三国市場協力フォーラム」が開かれた。日本最大の財界団体である日本経団連の会長である中西宏明日立製作所会長や、安永竜夫三井物産社長ら日本を代表する企業関係者500人ほどが総出動した。米国、フランス、ドイツなど他の国家首脳会談経済使節団を圧倒する規模だ。日本政府が今回の首脳会談にどれだけ力を入れているかを見せる部分だ。

(中略)

 だが表に現れた成果とは違い安倍首相と日本企業は中国との協力に中途半端な姿勢を見せた。日本経済新聞はこれを「半身の対中提携」と表現した。「半身」は相撲や剣道など格闘技で相手に体を斜めに向ける姿勢を取ることをいう。

 なぜそうなのだろうか。まず両国企業間の経済協力の中身は大きくないという指摘が出ている。パナソニックは中国最大検索会社バイドゥと次世代車両に搭載するシステムを共同開発するために工場を作ることにした。しかし中国製車両に搭載される機器は米国の関税賦課対象のため中国に生産基地を置きにくい状況だ。三井物産は中国のエネルギー企業CCLと電気自動車や液化天然ガス(LNG)分野などで共同投資することにした。三井は米国でLNG開発事業をしており、米電気自動車スタートアップにも投資した状態のため通商戦争を行う中国と米国の間で「二股」をかけることになった。

 米国との関係も日本企業の足を引っ張った。安倍首相の側近である谷内正太郎国家安全保障局長は16日に米ワシントンDCでホワイトハウスのボルトン国家安保補佐官に会った際に安倍首相の訪中意図を説明した。安倍首相も先月16日の日米首脳会談の際にトランプ米大統領に中国と第三国インフラ事業協力計画などをあらかじめ説明したという。日中の密着が米国の気分を害し米国に対抗する姿に映ることを懸念したためと分析される。

 中国外交部高位関係者は「米中間の貿易戦争の砲火の中に日本政府と企業は米国の反応をうかがいはっきりしない態度を見せた。今回の首脳会談で日中関係が実質的な関係改善に至るのは容易でないだろう」と指摘した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181029-00000012-cnippou-kr

ふむ。中国と約束だけしておいて、米中貿易戦争を理由に実行に移さない可能性があるのか。空約束で終わるかもしれないってことだ。米国が表立って日中首脳会談に触れてないところを見ると、コアな部分では日本政府は一切譲らなかったということになるね。これでよかったのかな?

ボクはこの内容なら大丈夫だと思いました!表向きはいい顔をしても、腹の内では信用してないってことですもんね!

米国は日本の宗主国ではありませんし、日本に直接政治的な指示を出す立場にもありません。米国の利益を害すると判断すればそれなりの声明を出すまでです。今回の日中首脳会談に関しては、重要ではない会談だったという認識が広まりつつあるようですね。現状ではトランプ氏も米国務省も特に問題視していません。

よかった・・・。不安材料が1つ消えました!

安倍首相は終わらないぞ。これなら安倍政権もまだまだ続けられる!二階先生の顔も一応は立てられたし、当面は問題にならないだろう。俺も安心したわ。

中国株の底値は見えずゼロになるとの噂も

それでだ。話を中国人民元に戻そう。中国株も昨日は大変なことになっていたね。引けにかけてズンズン値を落とし、再び2500も割り込む流れが見え始めている。このことを人民元安と併せて考えれば、確かに資本流出と考えるのが妥当だね。

大きく下げては少し戻し、また大きく下げるという流れがずっと続いてます・・・。中国のファンドが売ってるんでしょうか?

そうだね。大口に逃げ場を確保してやってるとしか思えない値動きだよ。数日前にはレコードチャイナからこんな記事も出ている。

心理的な節目の2500ポイントを切った上海株式市場、これが底値なのか?=「底値というものなど存在しない」―中国ネット
2018年10月19日(金) 19時20分

 2018年10月18日、新浪新聞の微博(ウェイボー)アカウント・頭条新聞は、18日の上海株式市場で、3年11カ月ぶりの安値となったと伝えた。

 18日の上海株式市場では、A株が低値で始まりで下落し続けたと記事は紹介。先週にも16年1月に記録した2638ポイントを割り込んだばかりだが、18日には心理的な節目の2500ポイントも割り込んで2486.42ポイントとなった。これは14年11月20日以来の安値だ。

 記事は、「約4年ぶりの安値となった」と紹介。中国石油や中国交通建設などのA株市場に影響力を持つ株が大幅に下落し、上海と深センの両株式市場で100銘柄以上がストップ安となったという。記事は「これで底値になったのだろうか?」と問いかけている。

 これに対し、中国のネットユーザーから「2000ポイントが底だと思う」「1500までは下がると見ている」「1000ポイント以下になれば底値と言えるのでは」などの悲観的なコメントが多く寄せられた。

 さらには底値とはゼロのこと」「A株には底値などない」「底値というものなど存在しないなどの意見のほか、「命が惜しかったら株から離れていた方がいい」というユーザーもいて、楽観的な見方は皆無だった。(翻訳・編集/山中)

https://www.recordchina.co.jp/b654369-s0-c20-d0062.html

中国の人達って、意外と自虐的ですよね。あっけらかんとしてます(笑)

この辺りは憎めないポイントなんだよな。まあ中国の人達は韓国の人達と違って歴史の真実に目を向ける余裕もあるし、民主化すれば何かが変わるかもしれないね。脅威なのは中国共産党という政府の存在と、それに関わる多くの権力構造というわけだ。

もしも中国株がホントにゼロになってしまったら、どうなるんでしょう?

まあ破れかぶれの軍事的な手段に出ることは想像に難くないよね。ゼロどころか2000割れでも相当ヤバい事態だから、何か強硬な手段に出ることが予測できる。これまた韓国と同様に年末年始が山場じゃないかな?

私は中国の株価の今後に関しては言葉を控えさせてもらいますが、米国は中国が取りうるであろうあらゆるオプションを想定し、すでに備えを完了させています。中国の動きは一挙手一投足全て把握されていると言っていいでしょう。

最初から最後まで米国の手のひらの上ということか…。恐ろしいね。米国を敵に回すなんてことを一瞬でも考えた中国の負けだと思う。最後の日中首脳会談カードも不発に終わった。繰り返すけど、年末年始が山場だな。

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