今回の賠償判決について、日本のマスコミ内でも見解が分かれているのが興味深い。ここで取り上げる記事は、韓国の最高裁が国内世論に追い詰められ渋々判決を出したというもの。韓国としては日本の資産を没収する気なんてさらさらなく、今回も韓国政府が補償を肩代わりする流れになるのではと推測している。韓国擁護記事だという声もあるけど、別の側面から今回の賠償判決を見ることで違った事実が浮き彫りになった。
確定判決でも終わらぬ「徴用工訴訟問題」
11/3(土) 12:12配信 Wedge韓国大法院(最高裁)が、戦争中に日本企業で働かされた韓国人の元徴用工らへの賠償を日本企業に命じる判決を下した。最高裁まで争うような訴訟はどれでも同じだが、提訴から10年以上の年月を経ての判決確定である。判決の内容が日本の感覚で理解できないことは論をまたず、韓国司法ひいては韓国社会に対する不信感を日本国内であらためて強めてしまった。その点について今さら書いても仕方ないようにも思うので、今回は別の観点で考えてみたい。
・・・判決確定でも「残っている手続き」とは
「大法院の判決が確定したとしても、実際にはもう一つの手続きが残っている。だから即座に何かが起きるわけではない」
判決が出る前にソウルで会った韓国外務省高官は、私にそう言った。どういうことか。
「被告の日本企業は賠償命令に従わないでしょ。そうなると、原告は裁判所に強制執行を申し立てることになる。そういうステップが残っているんですよ。そして原告が強制執行を申し立てなければ、判決は出たけれど何も起こらないことになる」
そうなれば日本企業に実質的な被害は及ばないので、日韓関係の破局は避けられるという考え方だ。原告を説得するために、韓国政府が補償を実施して事実上の「肩代わり」をするというアイデアも検討されている模様だ。
韓国は、1965年の日韓国交正常化の際に締結された請求権協定に基づいて日本から5億ドルの経済協力資金を受けとった。資金の趣旨は請求権問題を解決するためのものだったので、韓国政府は70年代に韓国人元徴用工らに対する補償を行った。ただ、開発独裁体制である朴正煕政権下での補償は不十分なものに終わっていた。
盧武鉉政権だった2005年に請求権協定の適用範囲について再検討が行われ、▽慰安婦▽被爆者▽サハリン残留韓国人――という3つの問題は請求権協定でも解決されていないという判断となった。この時も元徴用工の問題については協定の対象だと見なさざるをえないとされたが、70年代の補償は不十分だったので追加の補償措置を行うこととなった。今回も補償措置を行うことになれば、それは韓国政府による3回目の補償ということになる。
・・・
一方で大法院は、この訴訟の審理を遅らせるという朴槿恵政権との裏取引があったと追及されている。見返りとして、海外の大使館に勤務する判事のポストを増やしてもらったのだという。朴政権の不正追及に熱心な現政権の意向を受けた検察の捜査攻勢に対し、裁判所側はこの事件で出された捜索令状申請の9割以上を却下するという極端な対抗策を取った。これには世論も反発して大法院は極めて苦しい立場に追い込まれ、ついに将来の大法院判事間違いなしと言われていた幹部が逮捕される事態になった。
こうした状況を見ると、国内的な圧迫を受けた大法院が元凶である徴用工訴訟の判決を急いだのではないか。対日政策にそれほど多くの注意を払っていなかった政権は、当初は放置していたものの波紋の大きさに驚き、今さらながら対応を急いでいると考えられる。
・・・河野太郎外相は判決翌日に行われた韓国の康京和外相との電話協議で、「速やかに毅然とした対応を取ってほしい」と要求した。そして、河野氏は記者団に「日本国民、企業に不利益を及ぼさない対応を期待したい」と述べた。とりあえずは日本政府も、韓国政府の出方待ちということである。
日韓両国政府が、日本企業に実質的被害を及ぼさないことを「落とし所」にしようとしているようにも見える。とにかく、両国とも判決確定で「終結」という態度ではない。私にとっての最高裁判決のイメージは裏切られたけれど、外交関係を破局に陥れることはできないのだから当然なのかもしれない。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181103-00010000-wedge-kr
相反する2つの記事を比較してみる
「Wedge」って聞いたことないメディアです・・・。
俺もあまり詳しくは知らない。
東海道・山陽新幹線のグリーン車にも搭載されているビジネス・オピニオン誌Wedge(ウェッジ)。このウェブサイトから定期購読がお得に申し込みできます。特集:袋小路の沖縄
ビジネス系の雑誌なんですね!
まあ記事自体は非常に興味深い主張をしている。韓国の最高裁が今回の判決を出すに至った経緯が書かれている。それによれば、今回の賠償判決を遅延させたことに関してパククネとの裏取引があったことが追及され、幹部が逮捕されたこと自体が原因だとされている。この記事の中ではそうなっている。
ムン大統領は、そこまで賠償判決に比重を置いてなかったんですか?
ところがそれを真っ向から否定する記事がここにあるんだよ。日経ビジネスの鈴置さんの記事だ。
文在寅政権は「現状を打ち壊す」革命政府だ
11/2(金) 11:51配信 日経ビジネスオンライン文在寅(ムン・ジェイン)政権は革命政府だ。「現状」は全て打ち壊す。核を持つ北朝鮮と一体になるのだから、怖いものはない。
●「歴史カード」を奪回した
――韓国はいったい、何を考えているのでしょうか。日韓国交正常化の際の合意をいとも簡単に踏みにじりました。
鈴置:驚くことでもありません。文在寅政権は革命政権なのです。国内外を問わず、気にくわないものは全て破壊します。この政権を生んだ2016年から2017年にかけての朴槿恵(パク・クネ)打倒劇を、大統領自身がフランス革命に例えています。
・・・政権に近い人を最高裁長官に
――文在寅政権は重荷を背負い込んだ?
鈴置:日本との間に立つ外交部は困惑していると思います。最高裁の判決を実行しないよう要求されたのですから。もし原告が差し押さえに動けば、世界から「法治国家ではない」と認定されてしまう。
ただ文在寅政権の中枢は、日韓摩擦は織り込み済みと思われます。この政権が発足した2017年、大統領は人権派として有名で、自身の考え方と近い金命洙(キム・ミョンス)氏を大法院長(最高裁長官)に任命しました。
春川(チュンチョン)地裁裁判長からの就任という異例の人事異動でした。当時から「徴用工裁判で日本企業の責任を問うための最高裁長官人事」と見られていました。
――しかし、これでは日韓関係が完全におかしくなってしまいます。
鈴置:むしろ、それを望んでいると思います、政権の中枢部は。この政権は北朝鮮との融和を最優先しています。
すると、北朝鮮を共通の仮想敵としてきた米国との同盟が邪魔になります。米韓同盟を何とか廃棄に持って行きたい、というのが文在寅政権の本音でしょう。
そして米韓同盟は、良好な日韓関係があってこそ十分に機能します。つまり、日本との関係を悪化させることが米韓同盟廃棄の伏線となるのです。
ただ、こうした手口は韓国の保守派の一部からは見ぬかれている。政権としては自分の手を汚さず、最高裁をして日本との関係を破壊させるのがベストの解決策なのです。
●本性を現わした文政権
韓国が露骨に北朝鮮の非核化の邪魔をするようになったので、米国メディアは「文在寅は金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と書き始めました。
でも、この政権はそんな“雑音”は無視し、北朝鮮との共闘にオールインしています。北朝鮮の非核化を阻止したうえ、南北が一体化を進めれば「民族の核」を持つ強国として米国から独立できるのです。
文在寅政権はすっかり、その革命政権としての本性を現わしたのです。ただ、怖いのは保守派の「反革命」でしょう。
もし今、文在寅政権が「米国との同盟を打ち切る」と宣言すれば、青瓦台(大統領官邸)は大群衆に包囲され、弾劾されかねない。しかし、米国にまず「同盟を打ち切る」と言わせれば、保守派も文句は言えなくなります。
日韓関係の破壊はその一里塚です。革命政権の米国からの独立作戦は着々と進んでいるのです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181102-42708554-business-kr
途中の大部分は省略した。了承してくれ。
この記事だと、ムン大統領が最高裁の長官を自分の考えと近い人にしたことになってますね!冒頭の記事とは内容が異なると思います。
そう。最高裁は国内世論に突き動かされて渋々判決を出したんじゃない。最初からそういう思想を持つ人を最高裁の長官に選んで、100%望み通りに判決を出したということなんだ。これは重要なんだけど意外と広まってない話だと思う。
文在寅が沈黙を続ける驚愕の理由とは何か
でも、それだとムン大統領が黙り込んでる理由が分かりません!ムン大統領が指名した長官のはずなのに、どうして困惑してるんでしょうか?
この金命洙という長官が指名されたのは2017年9月。文在寅政権が発足して間もなくの話だった。ところで慰安婦合意の検証が行なわれたのはいつだか覚えてるか?
えーと、えーと・・・。2017年の12月です!
そこで韓国はどんな結論を出した?何を知った?
う~ん・・・分かりません!教えてください!
“裏合意”だよ。慰安婦像を撤去するように要求した件も含め、表の慰安婦合意には出てこなかった内容がいくつもあったことが明らかになったんだ。
ホントだ!ホントにそう書いてあります!
慰安婦合意 非公開の「裏合意」あった=韓国検証報告書
2017/12/27 15:00【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部長官直属のタスクフォース(TF、作業部会)は27日午後、旧日本軍の慰安婦問題を巡る韓国と日本の合意の検証結果をまとめた報告書を発表した。報告書によると、韓国政府が慰安婦関連団体を説得する努力をし、海外で被害者を象徴する少女像の設置を支援しないなどの内容が盛り込まれた事実上の「裏合意」があったことが明らかになった。
報告書は「慰安婦合意には発表内容以外に非公開の部分があった」と説明。「日本側が挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)など被害者関連団体を特定し、韓国政府に(合意に不満を示す場合の)説得を要請し、韓国側は関連団体の説得努力をするとし、日本側の希望を事実上受け入れた」と指摘した。
また、「日本側は海外に(慰安婦被害者の)追悼碑などを設置することを韓国政府が支援しないとの約束を取り付けようとした」とし、「韓国側は『支援することなく』との表現を(非公開部分に)盛り込むことに同意した」と伝えた。
(中略)
ソウルの日本大使館前に設置された少女像については、日本側が具体的な移転計画を求めたのに対し、韓国側は「適切に解決するよう努力する」と応じたという。その上で、「非公開部分で韓国側の少女像関連発言は公開部分の脈絡と違い、日本側の発言に対応する形になっている」とした。
報告書は「少女像は民間団体の主導で設置されただけに、政府が関与して撤去することは難しいとしてきたにもかかわらず、韓国側は合意内容に盛り込んだ」として、「このため、韓国政府が少女像の移転を約束しなかった意味が色あせた」と指摘した。
(以下略)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2017/12/27/0400000000AJP20171227002500882.HTML
な?そしてこれらの裏合意の存在を知った文在寅は、結局慰安婦合意を破棄する選択肢を取らなかった。これが何を意味するか分かるか?
裏合意の内容が韓国に都合が悪かったからでしょうか?
そういう”裏合意”があったこと自体が、何を意味するかもこの時に知ったんじゃないかな。日本との約束を破って、合意を破棄することで何が起こるか…それは今回の賠償判決にも言えるね。数十年にもわたり続いてきた請求権協定をひっくり返すことがどんな結果をもたらすか。
どうなるんですか?
俺は”裏合意”のさらに下には、日本との密約のようなものがあったのではと推測している。この慰安婦合意を破棄した場合、すべての日韓のチャンネルを閉ざして関係を断ち切ることになる…という目に見えない警告も含まれていたんだろうと邪推する。だからこそパククネも必死に合意を守ろうとしていたし、文在寅も今回の賠償判決に対して固く口を閉ざしている。慰安婦合意や日韓請求権協定などの日本との約束事は絶対に破棄できない。そういう事実をこの時初めて知ってしまったわけだ。
それだと今回のムン大統領の態度も辻褄が合いますね!日本との関係がホントになくなることを望んではいないんですね・・・。
北朝鮮は文在寅の外交手詰まりをチャンスと考えている
慰安婦合意の検証が行なわれ、結果が発表されたのが昨年末。ところで北朝鮮との話し合いが始まったのはいつだったっけ?
今年に入ってからです!
北朝鮮が文在寅の窮状に付け込み、交渉を有利に進めようとした可能性は考えられないか?
でも北朝鮮が動いたのは、国連の制裁が始まったからですよね?
第1の理由はそうだろう。でもその次には第2の理由として、韓国が外交的に日本と対立すると困るという状況を把握したからとは考えられないか?
う~ん、ちょっと難しいです・・・。どういうことですか?
韓国政府が日本への愛国心をこれ以上発揮できないとなれば、文在寅はこれまでの日本への強気姿勢を維持できなくなる。つまり外交でやることがなくなってしまうんだよ。そこへ北朝鮮が助け舟を出して、文在寅が外交の成果に困らないようなネタを提供したというわけだ。
それが南北融和政策なんですか?
元々文在寅は親北派の支援も受けてたし、そっちにシフトすることは何も問題がなかった。第一目標である慰安婦合意の破棄が不可能だと悟ったなら他にやることはない。文在寅なし崩し的に北朝鮮の言いなりとして動き、制裁の解除を米国に頼み込む役目を担わされてしまったわけだ。
ムン大統領って、選挙前は愛国心全開だったイメージなのに、確かに途中から全然日本に強気の発言をしなくなりました!
今年は北朝鮮一色だったと言ってもいいね。愛国心を発揮してたのは韓国軍とか韓国の与野党、韓国マスコミに韓国の裁判所や市民団体と周辺の人々ばかりだ。彼らはおそらく日本との合意内容についてほぼ知らされていなかったし、日本が今どう考えているのかもほとんど理解してないと思う。
結局どちらの記事にも間違いが含まれていた
冒頭の記事なんですけど、ネットユーザーは韓国擁護記事だとはっきり言ってます!事実を曲解してるとも言われてます・・・。
こうして一連の動きを見てみると、事実誤認と言わざるを得ないよね。最高裁の長官がどういう人だったかの考察が抜けているのはでかい。
「外交関係を破局に陥れることはできない」という部分にも批判が集中してます!日本国民としてはもううんざりしていて、関係がなくなっても受け入れる人の方が多いだろうって。
この記事には問題がありすぎる。
どうして取り上げたんですか?
最初に論調がおかしな記事を取り上げて、後から鈴置さんの記事を持ってくることで違和感に気付いてほしかったんだ。でも、結果的に言えばどちらの記事も間違いが含まれていることが分かった。
日経ビジネスさんの記事だと、ムン大統領が沈黙している理由を説明できないからですか?
そう。鈴置さんには、最高裁の長官を選んだ後に慰安婦合意の検証があった部分にも突っ込んでほしいと思っている。あの検証以降急に韓国が弱気になり、それと同時に北朝鮮との妙な融和政策が始まったことの意味について。
そうなると、記事の結論も間違ってませんか?
言いにくいんだけど、そうならざるを得ない。文在寅は北朝鮮との統一で核を持ちたいなんて思ってはいないというのが俺の考えだ。鈴置さんには、南北の一体化が進めば韓国の大統領というポジションがどうなるかについても書いてほしい。今のままの体制を維持することは不可能だし、一国二制度のような形でもない限り国家のトップが2人存在することになってしまう。
確かに・・・悪いんですけど、ボクもそこまで単純な話じゃないと思います!
北朝鮮は文在寅を使い走りだと考えているのは確かだし、韓国に潜入している親北派も韓国のためには動かない。いかに韓国を利用し制裁を解除させるか、在韓米軍を撤退させるか、時間稼ぎをするかを考えているだけだと思う。韓国と共に民族の核を持とうなんて考えは北朝鮮にはないはずだ。どちらかというとそれは韓国保守派の考えだよね。ロウソク革命は結局韓国のためにはならない、という点だけは間違ってないけど。
じゃあ、ムン大統領は革命政権ではないんでしょうか?
ここでワトソン君に課題を出そう。ロベスピエールの最期はどうなりましたか?フランス革命はどのようにして終了しましたか?革命を終わらせた人物は誰でしょうか?次の歴史の時間までに答えを出し、今の文在寅政権との対比について簡潔にまとめてくること。以上。
ええ~?難しすぎますよ!勘弁してください!
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