米国の社債市場に危険信号 ある指標が16年ぶり最低の水準に

米国の投資適格社債市場における潜在的な危険信号、特に「キャリースプレッド」と呼ばれる指標に注目が集まっている。この指標は投資適格社債の利回りと基準金利の差を測定するもので、銀行全体の資金調達コスト上昇により、比較的質の高いクレジットへの投資意欲が抑制され、リスクプレミアムの急上昇が避けられないと予想されている。

キャリースプレッドは過去27年間で2回しか経験がない水準に落ち込んでおり、2007年以来の水準になっている。質の高い社債の価格が下落しているため安い買い時に見えるかもしれないが、金融機関がこれらの社債を買うことを抑制する資金調達コストの上昇が懸念され、スプレッドの拡大を引き起こす可能性がある。

TDセキュリティーズのポートフォリオ・ESG(環境・社会・企業統治)戦略責任者であるクリスティアン・マッジオ氏は、シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの救済など最近の出来事が、米国のリセッション(景気後退)と相まって、米国の投資適格社債市場の調整リスクを高めたと指摘している。今後の貸し付け状況の引き締まりが、このような調整を促進する可能性があるとのことである。

コメント欄では「預金を解約し社債に資金が流れることで価格が実力以上に上がってしまい、スプレッドが縮小していることを言っているのか」という疑問が挙げられていたが、記事の内容からはそういう指摘は見られない。

むしろ銀行全体の資金調達コスト上昇によって質の高いクレジットへの投資意欲が抑制され、リスクプレミアムの急上昇が避けられないという懸念を示している。社債の価格が実力以上に上がっているわけではなく、資金調達コスト上昇が社債市場に影響を与え、キャリースプレッドが縮小していることが問題視されている。(黒井)

米社債市場に危険信号、「キャリースプレッド」07年以来の水準
https://news.yahoo.co.jp/articles/19fdfe8cedd83e97b2b1fc23c0f28e6789479614

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