韓国のSKハイニックスは中国の景気回復やAIの需要を背景に、メモリーチップ業界が年内に深刻な不況から脱却するとの見方を示した。
ブルームバーグによれば、同社はアナリストに対し業績は下半期から回復するとの見通しを示した。前代未聞の半導体不況に終止符が打たれるとの楽観論を後押しした。
これに先立ち発表されたSKハイニックスの決算では営業赤字3,390億円を計上していた。ほぼ市場の予想通りとなっていた。
だがコメント欄では厳しい意見が並んでいた。今年の夏には回復すると言っていたはずで、「年内にも回復」というのは相当後ろ倒しになっているものと考えられる。減産してでも在庫を減らさないといけない状況は相当厳しい。
また日米台の”半導体同盟”のソフトな枠組みも成立しつつあることから、韓国だけは中国の経済再開効果も市場が期待するほど得られない可能性が高い。
米国のバイデン大統領との首脳会談は米国時間の4月26日に実施される予定。今回の韓国大統領の国賓訪問は2011年の李明博以来12年ぶりとなるようだ。
だが愛国日報こと中央日報は米国が「自国中心主義」を発揮し、電気自動車の補助金対象から韓国含む外国企業をすべて排除したことに不満を持っている。米空軍州兵によって明かされた機密文書で韓国政府の会話を傍受していたことが明らかになっても、韓国に対し謝罪の一つもないと続けて批判している。
だが一方で「米国からの半導体独立は許されない」とも言い、米韓同盟を「結婚」だと位置付けて不満な部分を受け入れなければならないと主張した。かつて中国がそうして米国から独立したサプライチェーンを確立しようとしたが、結果制裁され台湾を制圧してでも工場を手に入れなければならないという立場に落ちぶれた。
米国政府がこのような韓国内部の雰囲気を察知していないはずがなく、愛国日報の記事どころか記者の会話内容すら「傍受」しているかもしれない―――という点には考えが至らなかったようだ。
韓国が対中強硬姿勢に踏み切った背景の1つには、対中輸出の不振と莫大な貿易赤字があるかもしれない。愛国日報によれば去年4月から一貫して減少傾向にある対中輸出の影響で、1-3月期だけで78億ドルもの赤字を出した。またそれにより世界の輸出市場シェアで韓国が金融危機以来最も低い2.74%に甘んじることになった。
記事では「中国市場と決別するという覚悟で市場開拓と技術開発を」と主張しながら締めくくられていた。
先ほどの愛国日報記事では米国を「自国中心主義」と言いながら、今度は「中国市場と決別を」などと言い放ったわけだ。こうした米中どちらにも批判的な態度が許されるはずがなく、韓国は輸出大国の地位から転落し未曾有の金融危機に見舞われることになるだろう。
また愛国日報は別の記事で「米国は韓国にどんな請求書を出すのか」という最初から喧嘩腰の論調も露わにしている。同盟国は「結婚関係」などと言いながらその次には請求書がどうのと主張するのには唖然とさせられる。
米韓首脳会談の結果を見るまではどういった分析や予測もさほど重要ではない。続報を待とう。(黒井)
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