2023年4月26日、日立ジョンソンコントロールズ空調は栃木事業所において、同社が展開するルームエアコン「白くまくん」の主力製品「スリムモデル(Wシリーズ)」の出荷式を行い、同時に同事業所内に新設したスリムモデルの生産ラインを報道陣に公開した。
スリムモデルはこれまで中国工場で生産していたものであるが、夏のエアコン需要最盛期を迎える前に国内生産に切り替え、2022年夏に業界全体で課題になったエアコン供給不足にいち早く対応する構えだ。
同社は2022年11月に栃木事業所で行ったフラグシップモデル「プレミアムXシリーズ」の出荷式において国内生産回帰を進める方針を示していたが、約5カ月という短い期間で生産ラインの国内移管を実現した。
栃木で設計し、栃木で生産した「メイドイン栃木」の白くまくんを「1台でも多くご利用いただきたく、取引先の皆さまの多大なる協力を得ながら、数億円を投資して生産ラインを新設した」とのこと。
白くまくんのスリムモデルは、「凍結洗浄」「ファンお掃除ロボ」「カビバスター」など人気の清潔機能を搭載するとともに、本体高さが24.8cmとスリムで、エアコン上部のスペースが3cmあれば設置可能であり、マンション窓部のサッシ上部やカーテンレール上部への設置が容易なことを特徴としていた。
このため、書斎や子ども部屋などの各部屋に設置するのが最適であり出荷台数も多かった。
今回のスリムモデルの国内生産回帰は、日立ジョンソンコントロールズ空調にとって「RAC20-PAC20」で掲げるルームエアコンとパッケージエアコンの国内シェア20%の達成に向けた重要な取り組みとなる。
同社は、コスト競争力のある地産地消がグローバルの方針となっており、新ラインにはさらなる工夫を盛り込むことで品質で勝負していきたいと強調していた。
地産地消によって、安定した製品供給と迅速に需要に応えるリートタイム短縮を実現できるということで、日立製作所の栃木工場発足から80周年を迎える中で、生産量増加と雇用増加という形で地域経済にも貢献できるとしている。
人の生命や健康を預かるエアコンは社会インフラであり、2022年夏は「エアコン難民」という言葉が出るほど、エアコンを買えない、修理できないという問題が発生し、同社も上海ロックダウンなどの影響で十分な製品供給ができずに迷惑を掛けたため、スリムモデルの国内生産回帰に向けたプロジェクトを急ぎ進めた。
同プロジェクトは2022年10月に決定したもので、2023年夏に間に合わせることを目標としていたが、実際には室内機が同年3月8日、室外機が4月18日に開始され、繁忙期の夏を迎える前に準備が整えられた。
新ラインでは、室内機の生産を行っており、室外機は既存のプレミアムXシリーズや200Vを用いる大型室外機のラインを活用している。追加雇用は、現時点で100人以上となっており、繁忙期には200人以上に増やす見込みだ。
スリムモデルの国内生産移行により、日立ジョンソンコントロールズ空調の国内市場向けルームエアコン生産台数の50%以上が栃木事業所で生産されることになる。
また、リードタイム短縮については、中国工場で生産して船便で輸入する場合は約27日かかっていたところを、国内生産であれば一部島しょ地域を除いて5~6日以内で届けられるため、3週間の短縮になる。
国内生産移行プロジェクトは、設計から生産管理、マテリアルコントロール、調達、生産技術、開発評価センター、製造技術管理、製造、品質保証、人事・総務、経理に至るまで、関係する全ての部門によるワークグループで推進された。泉田氏は「室内機と室外機それぞれについて問題点の洗い出しと進捗確認を毎日実施した」と説明している。
日立ジョンソンコントロールズ空調は、エアコン業界のサステナビリティに対する取り組みにも力を入れており、2020年には国内市場向けのエアコン製品において、化学物質適正管理の認証制度「エコプロダクト認証」を全機種で取得した。
また、同社は2020年にはSDGsに基づく事業戦略「ENVISION 2030」を策定し、2030年までの10年間で、地球温暖化防止に貢献する製品・サービスの提供、廃棄物削減、再生可能エネルギーの利用拡大、グリーン購入の推進など、多岐にわたる取り組みを進めることを目指している。
コメント欄では以下のような意見があった。
「日立は7000億円の赤字を計上してウミを出して再生して分社化なども進めたけど、物作りの伝統を生かすことの出来た日立。日本製品の国内回帰は良い判断だと思う。」
「国内生産は良いことだが、コスト計算が気になる。国内生産であっても人件費は維持したい。」
「日本国内の上がらぬ生産コストのお陰で、メイド・イン・ジャパンの復活。日本企業は世界ブランドメーカーに多くを学び、世界での競争力を持つ新商品の開発に勤しんで欲しい。」
「室外機がうるさいし、個体差もかなりあるようで(電気屋曰く購入後すぐの交換が多い)。個体差はなくなるかもしれない。」
「まずは技術者が必要。日本人には単純労働者しかいない。」
「原点回帰!この流れが他の企業にも派生しますように。」
「安心安全の国内生産の国内メーカー。」
エアコンの国内生産回帰を半年で実現、日立の「白くまくん」が目指す地産地消
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6a14aa16f6317daa63048facc329903282f1959
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