- 他者からの評価は「万能な真実」ではなく、バイアスまみれの参考情報にすぎません。
- 能力が低い人ほど「自分の実力」と「他者の見る目」がズレやすいことが心理学的に示されています。
- 賢い人は他者評価を「絶対視」せず、データの一部として冷静に扱うからこそ、結局また評価が上がります。
目次
はじめに
29歳インフルエンサー男性が「8000人に奢った経験から、愚かな人ほど他者からの評価を絶対視していて、しかもその評価がズレてることが多い」と語ったエピソードが話題になりました。パッと聞くとただの煽り発言に見えますが、実は心理学の研究と照らし合わせると、かなり筋が通った指摘でもあります。人は自分の能力を過大評価しがちで、そこにSNSの「いいね」や周囲の持ち上げが重なると、現実とのギャップはどんどん広がります。本記事では、このインフルエンサー発言を入り口に、「他者評価を絶対視する人ほどヤバい」理由を、事実5選として解説します。
事実5選
第1の事実:「愚かな人ほど他者評価がハズれがち」は、研究的にもかなり妥当w
「愚かな人ほど、自分も他人も正しく評価できない」という指摘は、いわゆるダニング=クルーガー効果と深く関係しています。これは、能力が低い人ほど自分の能力を過大評価し、高い人ほど自分を過小評価しやすいという有名な認知バイアスです。
能力が低い人は、そもそも何が「良いパフォーマンス」なのかを見抜く力が足りないため、自分の失敗にも気づきにくくなります。その結果、「自分はできている」と思い込みやすく、同じレベルの周囲の人からの評価もズレたまま強化されていきます。
一方で、ある程度能力の高い人は、他者の成果や基準も見えているので、「あの人はすごい」「自分はまだまだ」と冷静に比較しやすく、自分の実力も他者の実力もそこそこ正確に把握できます。結果的に、愚かでない人の他者評価は「だいたい合ってる」けど、愚かな人の他者評価は「むしろ間違いが多い」という構図が生まれます。
インフルエンサーの「愚かな人ほど他者からの評価が間違っている」という発言は、このダニング=クルーガー効果の大衆向けざっくり解説と言ってもいいくらい、意外と的確なのです。
第2の事実:他者評価は「数」より「質」!SNSのいいねはノイズだらけw
8000人に奢ったというレベルのインフルエンサーともなると、SNS上では大量の「いいね」「リプ」「崇拝コメント」が飛んできます。しかし、心理学的に見ると、大量の好意的なリアクションは、必ずしもあなたの「本当の価値」を正確に反映していません。
SNSの評価は、
- その場のノリ
- フォロワーの同調圧力
- 一時的なバズの流れ
- 「タダで奢ってもらえた!」という得した感情
など、さまざまな要因に左右されます。
最近の研究でも、ソーシャルメディア上のフィードバック(いいね数やコメント)は、自尊心や自己評価に大きく影響するものの、その評価の「正確さ」はかなり怪しいことが指摘されています。
「たくさん褒められた=優れている」とは限らないのに、愚かな人ほどこの「量」に酔いやすく、「オレ、やっぱ才能あるわw」と勘違いしてしまいやすいのです。その結果、うわべだけの他者評価で舞い上がり、冷静な自己分析を放棄してしまいます。
第3の事実:都合のいい評価だけ拾う「自己奉仕バイアス」でどんどん痛くなる
人には自己奉仕バイアスというクセがあります。これは、成功は自分の実力、失敗は他人や環境のせいにしやすいという傾向のことです。
愚かな人ほど、この自己奉仕バイアスが強く出やすいとされています。
例えば:
- 褒められたコメントだけをスクショして保存w
- 批判コメントは「アンチw」「嫉妬w」で一括処理
- 失敗した企画も「タイミングが悪かった」「運がなかった」で終了
こうして「自分を持ち上げてくれる評価」だけを絶対視し、「耳の痛い評価」は視界から消してしまうと、現実とのギャップはますます拡大します。
結果的に、
・うわべ評価:爆上がり
・中身:全然追いついてない
・本人:なぜかドヤ顔で説教し始めるw
という、インフルエンサーが指摘していた「アイタタタ」な状態が仕上がってしまうのです。
第4の事実:「辛口フィードバック」を処理できる人だけが本当に伸びる
他者評価には当然「ネガティブなもの」も含まれます。研究では、否定的な社会的フィードバックは、記憶やその後の人間関係の判断にも影響することが示されています。
しかし、愚かな人ほどこのネガティブ評価を
- 「人格否定された!」
- 「アンチに攻撃された!」
と感情的に受け取りがちで、その中に含まれている建設的な情報を拾い上げることができません。
一方で、愚かでない人は:
- 「言い方はキツいけど、ここは改善ポイントだな」
- 「この人はなぜこう感じたんだろう?」
- 「データとして記録しておこう」
といった形で、ネガティブ評価も「成長の材料」として扱います。
この差が積み上がると、
・愚かな人:褒め言葉だけ集めて一生同じ失敗を繰り返す
・賢い人:辛口コメントを燃料にして、数年後には実力で評価をひっくり返す
という結果になります。インフルエンサーの「説教してる側ほど、自分のうわべ評価に酔ってしまう」という観察は、まさにこの構図を言い当てていると言えるでしょう。
第5の事実:自分の「評価軸」を持つ人ほど、結果的に外部評価も安定する
最後に重要なのが、「自分の中に、他者評価とは別の評価軸を持てるかどうか」です。
愚かな人は、
- 「フォロワー数が全て」
- 「年収が全て」
- 「周りからチヤホヤされるかどうかが全て」
といった分かりやすい外部指標だけで、自分の価値を測ろうとします。
しかし、心理学の知見では、自己評価を外部要因(他人の評価)だけに依存させると、メンタルは不安定になりやすく、行動もブレやすいことが分かっています。
逆に、愚かでない人ほど、
- 「昨日の自分より、今日の自分がどれだけ成長したか」
- 「自分が大事にしたい価値観に沿って行動できているか」
- 「長期的に見て意味のあるスキルが育っているか」
といった内側の指標を持っています。
だからこそ、他者評価は
- 「自分の感覚と世間の感覚のズレを測るデータ」
- 「戦略を修正するためのフィードバック」
程度に扱われ、決して「自分の存在価値そのもの」にはなりません。
皮肉なことに、こういう人こそ長期的には信頼され、結果として外部の評価も安定して高くなりやすいのです。インフルエンサーが8000人に奢るような極端なことをしなくても、日々の行動でそれはじわじわ積み上がっていきます。
質疑応答コーナー
セイジ
他者評価を気にしすぎるのは良くないって分かったんすけど、とはいえ会社とかだと上司の評価って無視できないっすよね??
プロ先生
その通りで、「他者評価を絶対視しない」=「他者評価を完全に無視する」ではないんです。仕事では評価が給与や昇進に直結するので、上司の評価は重要な「環境条件」として扱う必要があります。ただし、上司の言うことを100%正しい前提で飲み込むのではなく、「自分の長期的な目標や価値観とどう折り合いをつけるか」を考えるのが大事です。
セイジ
じゃあ、褒められた時ってどう反応するのが賢い感じなんすか?? つい舞い上がっちゃうんすよねw
プロ先生
舞い上がる気持ちは普通ですし、人間なので嬉しくて当然ですw ポイントは「その場では素直に喜び、あとで静かに分解する」ことです。逆に、褒められた瞬間に「オレ最強w」モードに入って行動を変えないと、例の「アイタタタな人」コースまっしぐらになりやすいっすね。
セイジ
自分が愚かな側に落ちてないかセルフチェックする方法ってあるんすか?? 気づいたらダニング=クルーガー側にいそうで怖いっす…
プロ先生
良い危機感持ってますね。その不安を持てている時点で、かなりセーフ寄りだと思いますよ。おすすめは「定期的に、自分より詳しい人にフィードバックを取りに行く」ことです。逆に、「自分は分かってる」と言って誰のフィードバックも取りに行かなくなったら、赤信号っすね。
まとめ
- 他者評価は「真実」ではなく、バイアスまみれのデータのひとつにすぎないと知ることが、まず一歩です。
- 愚かな人ほど、都合のいい褒め言葉だけを絶対視し、辛口フィードバックを無視して「アイタタタ」な状態に陥りやすいです。
- 自分の評価軸を持ちつつ、他者評価を冷静に解析する人だけが、長期的に「中身の伴った評価」を勝ち取れるのです。
















