- 承認されたい気持ちは「普通」で「健康」な欲求ですが、向け方を間違えると一気にしんどくなります。
- 「特定の誰か1人」にだけ承認欲求を全集中させると、依存・モラハラ耐性・自己否定ループが起きやすくなります。
- 不特定多数とのゆるい繋がりを増やしつつ、「自分で自分を認める」習慣を作ることがメンタル安定のカギです。
目次
はじめに
「8000人に奢った経験から言うと、承認欲求が壊れてる人が多い。特定の誰かだけに全部向けるのは壊れてる」というインフルエンサーの発言は、ちょっと煽っているようでいて、意外と心理学的にも筋が通っている部分があります。承認欲求はそもそも「誰かに必要とされたい」「認められたい」という、ごく自然で健康的な欲求です。しかし、それを「特定の1人」だけに全振りすると、心がゆっくり蝕まれていきます。本記事では、その発言をきっかけに事実を5つに整理して解説します。
第1の事実:「承認されたい」は“人間として正常”どころか、ないと逆に危険!?
まず大前提として、「承認されたい」「褒めてほしい」という気持ちは、決して恥ずかしいものでも、幼稚なものでもないです。心理学では、人が「所属したい」「受け入れられたい」と願うことを「所属欲求」「承認欲求」と呼びます。この欲求がゼロに近いと、人間関係を極端に避けて孤立したり、自分の感情すら押し殺してしまったりしやすくなります。 つまり、「承認欲求いらない!自分だけで完結する!」という状態のほうが、実はちょっと危うい可能性があります。他人と関わるからこそ、自分の輪郭が見えたり、新しい価値観を知れたりするからです。「承認されたい」は、人間として標準装備の機能であり、悪でも害でもなく、むしろ健全に付き合うべき大事なシステムなのです。
第2の事実:「特定の誰か」にだけ承認を求めると、依存ループが発動しやすい!
問題はここからです。「承認欲求が壊れている」という状態の典型は、「あの人さえ認めてくれれば、他はどうでもいい」という極端な一点集中モードです。恋人、親、上司、推し…対象はさまざまですが、「その人の機嫌=自分の価値」みたいな結びつきが起きると、一気に依存ループに入ります。 この依存ループでは、
- 相手が喜びそうな行動を過剰にやる
- 少しでも無視・拒否されると「自分はダメだ」と激しく落ち込む
- さらに相手のご機嫌取りをする
というサイクルがぐるぐる回り、疲弊します。 不特定多数にゆるく承認を求めている状態では、「この人に嫌われても、他にもつながりがあるしな」とバッファが効きます。しかし「特定の誰か」に全振りすると、その人との関係が100点満点か0点か、という極端な世界になり、メンタルの振れ幅がとんでもなく大きくなってしまいます。
第3の事実:「特定の誰か」を神格化すると、自己評価が人質状態になる!!
「この人は特別」「この人だけは絶対」という感情が強くなると、その相手を自分の中で“神格化”しがちです。すると、相手の言葉は普通のフィードバックではなく、「人生の合否判定」のように感じられてしまいます。 たとえば、
- 褒められた日は「自分には価値がある!」とテンションMAX
- 少しでも冷たくされると「全部ダメだ、自分には価値がない」と一気にゼロ評価
このように、自己評価が自分の手を離れ、「特定の誰か」に人質に取られている状態になります。 本来、自己評価は「自分でつける内申点」のようなものであるべきです。「ミスもしたけど、ここは頑張ったよね」と、自分自身がジャッジする感覚を持っていないと、他人の一言で人生全体が揺さぶられるようになってしまいます。インフルエンサーのいう「不特定多数に向いているべき」というのは、まさに自己評価の支えを分散させる意味で、けっこう合理的なのです。
第4の事実:「特定の誰か」に拒否され続けると、脳は“身体の痛み”レベルでダメージを感じる!?
研究では、社会的な拒絶(いじめ、無視、恋人に冷たくされるなど)は、脳の「身体的な痛み」と関係する領域を刺激することがわかっています。つまり、「あの人にだけは認めてほしいのに、ずっとスルーされる」という状況は、メンタルだけでなく、脳的には「ずっと殴られている」に近いストレスとして処理される可能性があります。 しかも、承認欲求を特定の人に絞っているほど、その痛みは増幅されます。「特定の誰か」が自分の全世界になっていると、その人からの小さな拒絶も「生きてる意味あるのかな…」くらいに巨大化してしまうからです。 逆に、不特定多数に承認チャンネルを広げていると、
- この人は合わなかったけど、別の人が褒めてくれた
- リアルは微妙でも、オンラインコミュニティでは受け入れられている
と、「痛み」を緩和してくれるクッションがいくつもできます。クッションが多ければ多いほど、1人からの拒絶で人生ごと折れるリスクは下がります。
第5の事実:「不特定多数」と「自分自身」の両方に矢印を向けると、承認欲求は“エンジン”に変わる!
承認欲求は、向け方さえ間違えなければ、めちゃくちゃ強力な行動エンジンになります。「もっと褒められたい」「認められたい」という気持ちが、勉強、仕事、創作、筋トレなど、あらゆる成長の動機になるのは事実です。 ここで重要なのは、承認の矢印を
- 不特定多数:いろんな人からのフィードバックを受け取る
- 自分自身:自分が自分を褒める・認める習慣を持つ
の二方向に向けることです。 たとえば、
- 日記やSNSで「今日できたこと」を3つ書いて、自分で自分を褒める
- 趣味のコミュニティやオンラインサロン、勉強会など、複数の居場所を持つ
- 「あの人に認められなくても、別の人や過去の自分と比べて成長してるからOK」と考える癖をつける
こうした行動を重ねることで、「特定の誰か」に人生を握られるリスクは減り、「承認欲求=自分を伸ばすエンジン」に変わりやすくなります。
質疑応答コーナー
セイジ
「でも、恋人とか親にだけは認められたいって思うの、普通っすよね?? それもダメってことなんすか??」
プロ先生
「恋人や親に認められたい気持ちは、もちろん自然ですし、むしろ大事です。ただ、“それしかない”状態になるとしんどくなるんです。他にも友達や趣味仲間、仕事仲間など、複数のルートで承認を受け取れるようにしておくと、恋人や親との関係が少し揺れても、自分の価値そのものまでは揺さぶられにくくなります。」
セイジ
「承認欲求ってSNSが原因で悪化してるイメージあるんすけど、じゃあSNSやめれば解決っすか??」
プロ先生
「SNSが“燃料”になっている部分は確かにありますが、根本の承認欲求そのものは、SNSがなくても人間に元々あるものです。なので、SNSをやめれば全部解決、とは言い切れません。SNSはあくまで承認の窓口のひとつ、という感覚で付き合うのがおすすめです。」
セイジ
「“自分で自分を認めろ”ってよく聞くんすけど、正直どうやればいいか分からんのっすよね?? なんか簡単にできる方法とかあります??」
プロ先生
「いきなり大きく自己肯定しようとすると、違和感が出て続きません。おすすめは、“事実ベースで小さく褒める”練習です。ごく小さな行動を、寝る前に3つメモして、『これはこれでえらい』と声に出してみてください。最初は照れくさいですが、続けると“できていること”に目がいきやすくなり、少しずつ自己評価の土台が自分の中にできていきます。」
まとめ
- 承認欲求そのものは「正常」であり、なくす必要はまったくありません。
- ただし「特定の誰か」にだけ承認を求めると、依存・自己否定・メンタル不調のリスクが一気に跳ね上がります。
- 不特定多数とのつながりと「自分で自分を認める習慣」を増やすことで、承認欲求は人生を動かす強力なエンジンになります。




































