人工知能(AI)研究の第一人者でグーグル副社長を務めたジェフリー・ヒントン氏が自身のツイッターで同社を退社したことを明らかにした。ヒントン氏は、「会社への影響を気にせず、AIの危険性について発言するためだ」と説明した。
米紙ニューヨーク・タイムズは、ヒントン氏のインタビュー記事を掲載し、チャットGPTなど文章や画像を作り出す生成AIについて、偽情報の拡散が頻発することに懸念を示し、「悪意のある人たちに利用されるのを防ぐ手だてが想像できない」と述べた。
また、ヒントン氏は生成AIが奪う仕事が単純作業にとどまらないかもしれないとし、雇用が大きな影響を受ける可能性を指摘した。
オープンAIの研究者らは3月に影響が米国の労働者の80%に及び、高収入の仕事ほど影響は大きいと予測する論文を発表した。
ヒントン氏は、社会に危険を及ぼしかねない技術の公開に慎重だったグーグルやマイクロソフトも、チャットGPTの公開に触発され歯止めのない競争に入ってしまったとの見方も示した。
彼は生成AI分野でグーグルとマイクロソフト間の競争に触れ、国際的な規制の必要性を強調し、また、AIを悪用しようとする試みを防ぐことは難しいとし、全世界の学者たちが協力してAI技術を制御する方法を探る必要があると強調した。
AI技術の発展速度が速くなったにもかかわらず、各国の制度的準備が大きく不足しているため、AIが人間の雇用を脅かすだけでなく、サイバーハッキングや権威主義あるいは独裁政府のAI悪用の可能性などが懸念されている。
このため、エルサレム・ヘブライ大学のユヴァル・ノア・ハラリ教授、カリフォルニア大学バークレー校のスチュアート・ラッセル教授など、AI開発に「速度調整」が必要だという意見が相次いで出ている。
テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏も、「善良な意図で開発されたAIや自動化技術さえも技術と機械が(当初どのような目的で)作動するのかを忘れる水準に開発されれば、人類文明が危険にさらされる」と警鐘を鳴らしている。
AI技術は、今後も急速に進化することが予想される。しかし、その進化が人間の生活や社会に深刻な影響を与える可能性があるため、AI研究者や政府、企業などが、AI技術の利用に関する適切な規制や倫理観を確立することが求められている。
コメント欄では以下のような意見があった。
「ChatGPTは既に一般人の知能を超えており、将来的に人の仕事の大部分を奪うことは素人でも想像できる。悪意のある人が使えば人類の存続を脅かすことになるだろうし、規制するなら今しかない。」
「危険なものなら規制するとしても、人間の怠惰さがChatGPTの使用を増やしている。日本は規制に傾くべきだが、岸田は外国の技術に盲目的に飛びつく悪いクセがある。」
「AI化が進むと単純作業や時短労働の求人は増えるが、高学歴者しか就職できなかった種類の仕事こそ割を食うかもしれない。」
「AI技術は使い方次第で文明の利器にも、生物に危害を加え破滅への道具にもなる。ヒントン氏ら知識人がより良い方向性を示すことを期待する。」
「AIの進化は産業革命に匹敵する一大イノベーションであり、産業界にも大変革をもたらす。画像生成や動画生成の技術は仕事の激減をもたらすかもしれない。」
「テクノロジーの進化と普及は不可逆なもので、AIも例外ではない。実際に文書作成でChatGPTを使ったところ、実用に足るものだった。」
「AIは人間を敵視することもあるかもしれない。扱う側はAIを完全に制御する方法を考えることが必要だ。AI開発を進めるだけではなく、安全装置の限界も調べる必要がある。」
「絶対的なことはない。AIが第三者の悪意によって人間の存在すら否定する可能性もある。安全装置が駄目な場合の結果に不安を覚える。」
この件に関してNews U.S. レポートで有料記事を書いた。参考になるだろう。(黒井)
AI研究の第一人者が危険性指摘 ヒントン氏、グーグルを退社
https://news.yahoo.co.jp/articles/a749a3e6688dcfcf0e630c85ef2cd889441ffe8d
グーグルに辞表を出した“AIのゴッドファーザー”、「核より恐ろしいAI、国際規制が必要」(1)
https://news.yahoo.co.jp/articles/af2e3a4fb97ac7c5d7ac3722d3a0e6e8d6af5965















