- 低所得世帯の多くは家賃・食費がメインですが、一部の人は夜遊びやギャンブルなど「誘惑消費」で本当に生活を圧迫します。
- 給料日には誰でも財布がゆるみやすく、研究でも「給料日効果」「誘惑消費」が確認されていて、夜の店や飲み代に流れやすいです。
- 「働けば働くほど貧乏」の正体は、ストレス・借金・金融リテラシー格差が重なった“貧困トラップ”で、放置すると抜け出しにくくなります。
目次
はじめに
「給料低い奴ほど、その少ない給料で夜の店行きがち。だから働けば働くほど貧乏になる」──そんな29歳インフルエンサーのコメントがバズるのは、「ああ、周りにもそういう人いるわw」と感じる人が多いからかもしれません。もちろん、低収入=全員が夜の街に消えている、という乱暴な話ではありません。ただ、行動経済学や家計の研究を見ていくと、「あながち的外れとも言い切れないポイント」もいくつか見えてきます。ここでは、データや研究をベースに、事実5選として解説していきます。
1:低所得世帯の“ほとんど”はちゃんと生活費に使っている
まず冷静に押さえておきたいのは、「貧しい人ほど全部遊びに使っている」というイメージは、統計的には誇張だという点です。
アメリカの家計調査では、貧困ライン以下の世帯でも、支出の大部分は家賃・食費・光熱費・子ども関連などの「生活必需品」に向かっていて、酒・たばこなどへの支出はごく一部に過ぎないことがわかっています。
- 大多数:ギリギリの生活費と子どものための支出で精一杯
- 少数派:夜の店・ギャンブル・酒・たばこなど誘惑消費にかなり使ってしまう人
という構図になっていることが多いです。
インフルエンサーは目立つ少数派にどうしても目がいくので、「全員そう」と感じやすい、というバイアスも働いていると考えられますね。
2:「誘惑消費」は低収入ほどダメージが致命的になる!
とはいえ、「少数派だからどうでもいいw」という話でもありません。
行動経済学では、酒・たばこ・ギャンブル・一部の娯楽などを「誘惑財(テンテーション・グッズ)」と呼び、つい我慢できずにお金を使ってしまい、後で後悔しがちな支出として研究されています。
問題なのは、同じ1万円でも、
- 月収40万円の人の1万円 ⇒「イタいけど、まあなんとかなる…」
- 月収18万円の人の1万円 ⇒「家賃・光熱費・食費をどこか削らないと払えないレベル」
と、ダメージの大きさがまったく違うことです。
余裕のない人ほど、
- ストレス発散で一気に使ってしまう
- 「今月キツいから、来月の自分に任せるかw」と借金で先送り
- 必要な支出(歯医者、保険、貯金)を後回しにする
といった行動を取りやすく、結果として「夜の店・飲み代・ギャンブル」に流れたお金が、将来の自分の首を締めることになります。
インフルエンサーの「給料低い奴ほど夜の店行きがち」という体感は、「誘惑消費で自分を追い詰めてしまう少数派」に強くフォーカスした結果、かなり極端な表現になっている、と解釈するとしっくりきます。
3:給料日にはマジで財布がゆるむw『給料日効果』
「給料入ったから今日はパーッと行くかw」は、ノリではなく、ちゃんと研究で確認されている現象です。
米コロンビア大学などの研究では、給料日直後に消費が約3割増え、特に外食や娯楽への支出が増える「給料日効果」が報告されています。
ポイントは、
- 「本来なら少しずつ使うほうが合理的」なのに、収入が入ったタイミングで一気に財布がゆるむ
- 人間は「今のお金」と「未来のお金」を同じではなく、「今」を過大評価しがち(現在バイアス)
という、脳のクセです。
夜の店や飲み歩きは、
- 給料日直後でテンションが上がる
- 友達から「今日行かない?」と誘われる⇒断りにくい
- 場の雰囲気で金銭感覚がマヒしやすいw
と、「給料日効果」と相性バツグンの環境です。
その結果、収入が低くて本来なら慎重に使わないといけない層ほど、「給料入ったし、今日くらい…!」とドカンと使いがちで、翌月の生活が一気に苦しくなる、という構図が生まれます。
4:ギャンブル・くじ・夜遊びは“貧困トラップ”になりやすい
宝くじやギャンブルに関する研究では、低所得層ほど収入に対して大きな割合をくじ・ギャンブル購入に回す傾向がある、という結果が出ています。
なかには「宝くじは貧しい人向けの“税金”」とまで言われることもあるほどです。
これは夜の店にも似た構造があります。
- 一発逆転・非日常の快感を短時間で味わえる
- 「今日はツイてる!」「次こそ勝てる!」という錯覚(コントロールの錯覚)が起きやすい
- 負けた(使いすぎた)分を取り返そうとして、さらにお金を突っ込む
こうした心理的な罠が積み重なり、
「気づいたら、給料のかなりの部分が夜の店・ギャンブル・くじに消えていた…」
という状態に陥る人がいます。
収入が高い人でもハマれば危険ですが、もともとの手取りが少ない人ほど、
- 貯金ゼロ ⇒ 突発の出費に耐えられない
- 消費者金融・給料日前ローンなどに頼る
- 利息や手数料でさらにお金が吸い取られる
と、「働いても働いても貧乏」というスパイラルに落ちやすくなります。
これがまさに、インフルエンサーの言う「働けば働くほど貧乏になる」状態の正体に近い部分です。
5:ストレス&金融リテラシー格差が“働いても貧乏”を固定化する
「じゃあ、行かなきゃいいじゃんw」で済めば誰も苦労しません。
背後には、
- 慢性的なストレス(仕事・人間関係・将来不安)
- お金に関する知識やスキルの不足(金融リテラシー格差)
- 借金・ローンが当たり前になってしまう環境
など、個人ではどうしようもない要因も絡んできます。
研究では、過剰な借金や支払いの滞納は、ストレスやメンタル不調を悪化させ、さらに判断力や自己コントロール力を落としてしまう「悪循環」を生み出すことが指摘されています。
ストレスで疲れ切った状態だと、
- 長期的に得な選択(貯金・自己投資)より
- 今すぐスカッとする選択(飲み・夜の店・ギャンブル)
につい流されやすくなります。
これが「夜の店行きがち=意思が弱い」ではなく、「ストレスと環境が、その人をそうさせている」という、かなりシビアな現実です。
逆に言えば、
- 給料から先に貯金・投資を自動で引いてしまう
- 「月にいくらまでなら遊びに使ってOK」と上限を決める
- お金の勉強をして“テンションに流されない仕組み”を作る
といった工夫をすることで、「働いても働いても貧乏」ルートから、徐々に外れていくこともできます。
質疑応答コーナー
セイジ
正直、給料低いのに毎月夜の店行ってる人って、やっぱ単純にお金のこと考えてないバカってことっすか??
プロ先生
「バカだから」だけで片づけると楽ですけど、ちょっと乱暴ですね。実際には、長時間労働や人間関係のストレスが強いほど、「一晩だけでも現実忘れたい」と思いやすくなりますし、行動経済学的にも、人はストレス下だと短期的な快楽を選びがちだと言われています。
セイジ
じゃあ、そういう罠にハマらないためには、やっぱ若いうちから投資とか勉強して、株買っておくのが最強ってことっすよね??
プロ先生
方向性としては近いです。ただし「よく分からないまま流行りの投資商品や仮想通貨に全ツッパ」は、夜の店とは別の意味で危険ですw 投資は“逆転ホームラン”ではなく、“コツコツ出塁するイメージ”で考えると失敗しにくいですよ。
セイジ
夜の店とかギャンブルって、もう全部キッパリ一切やめるしか勝ち筋ないってマジなんすか??
プロ先生
借金がある、家賃や光熱費が払えないレベルまで生活が崩れているなら、「一度完全に距離を置く」のはかなり有効です。大事なのは、「お金で人生を削っている状態」から「お金で人生を豊かにしている状態」に戻せているかどうかです。そこがクリアできていれば、適度な夜遊びや娯楽は、人生のスパイスとしてアリだと思いますよw
まとめ
- 「給料低いほど夜の店行きがちw」というのは全員ではないものの、一部の層では行動経済学的に説明できる“貧困トラップ”として実在します。
- 給料日効果・ストレス・借金・金融リテラシー格差が重なると、「働けば働くほど貧乏」というスパイラルが固定化されてしまいます。
- 先取り貯金・支出の上限ルール・お金の勉強で“仕組み”を作れば、同じ給料でも「夜の店で消える人生」から「じわじわ資産が増える人生」にルート変更することができます。







































