- 中国の食糧安全保障政策が失敗の可能性：ウクライナ侵攻による穀物供給の影響や食料輸入の増加により、不安が高まっている。
- 習近平の肝いり政策の現場無視：退林還耕政策による耕地への改造や化学肥料の過剰使用による土壌汚染が問題となっている。
- 環境変化と異常気象の影響：農地の限界や異常気象の増加が食糧生産に悪影響を与えている可能性がある。
中国の食糧安全保障政策に関して、いくつかの懸念が存在しているようです。中国はウクライナの侵攻によって食糧事情に深刻な影響を受けた国の一つであり、ウクライナからの穀物供給が危ぶまれています。このため、中国は再び高い食料自給率を確保しようと躍起になっています。
中国の食糧安全保障政策の一つとして、「退林還耕」という政策があります。これは、1990年代に始まった「退耕還林」という政策を逆行させるもので、習近平国家主席が関与しているとされています。退耕還林政策は森林保護を目的としており、痩せた土地での耕作をやめて植林を進めることで環境問題の解決を図っていました。
中国はかつて「95％の食糧自給率を維持する」と宣言し、食料の増産に取り組んできました。しかし、現在その取り組みは限界に達しているとされています。中国の農耕地は世界の9％しか占めておらず、限られた農地で14億人の人口に食料を供給するためには、単位当たりの収穫高を上げる必要があります。しかし、過度な化学肥料と農薬の使用により多くの農地が汚染されてしまったため、この手法の限界も明らかになっています。
中国は自給で対応すべき食料と輸入に依存しても良いとされる食料を区別しています。直接食べるための穀物は自給しようとしていますが、飼料や油になる穀物（トウモロコシや大豆など）は輸入に頼る方針に切り替えています。その結果、中国の食料輸入量は増加し、昨年は世界最大の食料輸入大国となりました。
習近平国家主席は国内の食料生産を増やすことを重視しており、「トウモロコシなどの国内増産は既定路線」との声もあります。しかし、農地の拡大余地はほとんどなく、化学肥料や農薬の使用増加は土壌の劣化を招く可能性があります。また、最近の異常気象も中国の食糧生産に悪影響を及ぼしていると指摘されています。
中国政府は昨年の食糧生産量が過去最高を記録したと発表していますが、夏の洪水や干ばつが収穫に影響を与えた可能性があります。そのため、中国の食糧安全保障政策には疑問の声が上がっています。
