- シングルは8/1配信だが、プロモの目玉は同アルバムの別曲「Hachikō」に集中=話題の“主役”が分散。
- 2025年夏は競合の超強力作が乱立、新曲が埋もれやすい地合い。
- 全曲英語詞アルバム文脈&リリックの英語化で、国内指標(カラオケ/ラジオ等)に初動のハンデ。
目次
はじめに
JP週次データ(66位→100位→100位→104位→93位)を見ると、藤井風「Love Like This」は“長くじわ伸び”というより“初動鈍化→微回復”というカーブです。ここではリリース時期、ツアー動線、TV露出、チャート環境、曲調・作品文脈を突き合わせて読み解きます。楽曲の良し悪しではなく、ヒットの条件側からの分析です。
①:「主役」が別曲だった問題――プロモの軸が“Love Like This”に当たりづらかった!?
“Love Like This”は8月1日に配信開始。しかし同時期の露出軸は、9/5リリースの3rdアルバム『Prema』のリード曲「Hachikō」に集約されていました。実際、9/5の『Mステ』初出演で披露したのも「Hachikō」。リリース週に地上波の最大級枠で“別曲”が主役になったことで、SNS・サーチ・プレイリストの関心導線が分散し、“Love Like This”の旬な話題化が弱まった可能性があります。
さらに「Hachikō」は6〜7月のラジオ系カウントダウンで首位連発と“国内空気”を先に取っていたため、認知の初速はHachikō優位。同一プロジェクト内での主役交代タイミングが難しく、“Love Like This”は後手印象になりました。
②:夏シーズンの“怪物級”競合に直撃――上位レーンが渋滞してた!
2025年上半期〜夏の国内配信/総合指標はMrs. GREEN APPLEがHot 100/ストリーミングで席巻。加えてK-POP勢やアイドル大型作も夏に集中投下。8月末発表の週にはBOYNEXTDOORがJapan Hot 100で初登場1位を取るなど、新陳代謝の速い強者が上段を占拠していました。新曲が定着前に上から流れ込む週替わりの“波”に飲まれ、66位付近からズルッと下に滑りやすい地合いだったと考えられます。
③:全曲英語詞アルバム文脈の初動ハンデ――国内の“カラオケ/ラジオ/動画”複合指標で不利!?
『Prema』は全曲英語詞のコンセプト作。英語曲は国内のカラオケや一部ラジオで“日本語大衆曲”ほどの初速を得にくい場合があり、Billboard JAPAN Hot 100が参照するカラオケ/ラジオ/動画/DL/ストリーミングの総合指標ではじわ伸び型になりがち。つまり、短期で順位を押し上げる弾が相対的に少なかった可能性です。実際、作品サイドの公式情報でも本作が“全英語詞”であることが明示されています。
参考:同アーティストの「花(Hana)」はドラマ主題歌タイアップでJapan Hot 100トップ10入り。“日本語×タイアップ”の強さが可視化されており、今回は対照的な文脈でした。
④:リリース直後から北米ツアーで海外優先――国内テレビ露出の“刈り取り”不足!?
“Love Like This”の配信日8/1から北米ツアーが開幕。8/1シカゴ→8/8にOutside Lands(SF)→8/11ロサンゼルスGreek Theatre…と海外スケジュールが連続でした。結果として、国内TV/バラエティ/情報番組での大量露出(=“ライト層”に届く面)をリリース直後に積みにくい動線だったことは否めません。アルバム発売日に地上波で「Hachikō」を披露できたぶん、単曲“Love Like This”の刈り取りは薄かったとみるのが自然です。
⑤:曲調と季節トレンドの“噛み合わせ”――夏の高速BPM群の中で“スロー/メロウ”は埋もれやすい!?
“Love Like This”はメディア評でも「柔らかく心温まる」「繊細でスムース」と評されるメロウ寄り。一方、夏の配信市場はフェス適性の高いアップテンポやSNSループ映えする曲が伸びやすい季節要因があります。季節性×曲調のミスマッチは短期の再生弾性を下げ、週次順位の安定感を崩しがちです。もちろん中長期で“じわ伸び”するタイプでもあるため、アルバム文脈での再浮上余地は十分。
【質疑応答コーナー】
セイジ
プロ先生、英語詞だと日本じゃ聴かれにくいっすか??
プロ先生
一概には言い切れませんが、カラオケ/ラジオ/動画など日本語曲が強い指標が複合されるため“初動で押し上げづらい”傾向はあります。今回は全英語詞アルバム文脈でなおさら、という見立てです。
セイジ
じゃあ“Love Like This”は失敗っすよね??
プロ先生
ノー! 単曲の週次順位だけでは語れません。9/5のアルバムで再注目の波が来ますし、しっとり系は長期で伸びることも多い。加えて海外ツアーでの露出はグローバルでの蓄積になります。
セイジ
競合の波ってそんなにデカいもんなんすか??
プロ先生
今年の夏はMrs. GREEN APPLEの王者状態に加え、K-POP大型曲が首位をさらう週も。上段が硬いと新曲は中段〜下段に滞留しやすいんです。
【まとめ】
- “主役はHachikō”の露出設計+北米ツアー直行で、国内初動の刈り取りが弱く見えた。
- 夏の強者ラッシュで上位レーンが塞がれ、66位からの“受け皿”が薄い週次地合いに。
- 全英語詞という作品文脈と季節の曲調ミスマッチが、短期の順位安定を下げた可能性。











































