- 要点①:「イジメが“社会性の訓練”」は事実と逆。社会性は学校のSEL(社会情動的学習)で向上し、学力まで上がるデータあり。
- 要点②:「こどものイジメはまだ可愛い」どころか、メンタルや学業・将来に有害な影響が残ると国際機関が警鐘。
- 要点③: “安く学べる”どころかコスト高。科学的に効く対策(KiVa等)と法制度の整備こそが現実解。
目次
はじめに:その主張、どこがズレてる?
「イジメがもし無くせるなら無くしたほうがいい、でも“嫌われて詰む動き”を学ぶ安い機会だ」という論法は、一見“現実主義”っぽいですが、エビデンスに基づく人間の発達・教育・労働の知見とは真逆の方向を向いています。
【第1の反論】「社会性はイジメで鍛えられる」←それ、データはゼロ。むしろSELで伸びます!
意外ポイント⇒“優しさ教育”は甘やかしじゃない、成果も出る「投資」です!
学校で行う社会情動的学習(SEL)のメタ分析(213プログラム・約27万人)では、参加児童は社会性・行動・態度が改善し、学力も平均で11パーセンタイル向上という結果。これは「対人スキル」は体系的に教えれば身につくことを示します。痛みで学ぶ必要、ないですw
【第2の反論】「こどものイジメはまだ可愛い」←現実は健康被害・学業低下がガチで出ます!
意外ポイント⇒被害は被害者だけでなく教室全体に波及。長期のメンタル影響も。
世界保健機関は、いじめ(対面・オンラインともに)がうつ・不安・自殺関連のリスクを高め、影響が成人期まで持続し得ると指摘。かわいくなんてありません。
さらにOECDのPISA分析でも、いじめの増加は生活満足度・学校所属感・自己調整学習への自信を低下させる相関が見られます。教室全体の学習環境が荒れ、学業も落ちます。
【第3の反論】「“安い訓練”としてのイジメ」←コスパ最悪!有効な対策は既にあるし安いです
意外ポイント⇒加害者の“承認”を断つ全校型プログラムが効く!
KiVaのような全校アプローチは、傍観者の行動も含めて集団規範を変え、加害への“見返り”をなくします。英・ウェールズの118校を対象にした最大規模RCTでは、被害報告を13%減、共感の向上など副次効果も確認。費用対効果も良好という結論です。
また、複数メタ分析でも反いじめプログラムは全体として有効と評価。思いつきの“根性論”より科学的対策一択です。
【第4の反論】「大人になって詰む」⇒だからこそ大人の社会はイジメを法と制度で禁じるんですよ!?
意外ポイント⇒“現実社会”は「いじめ撲滅」を前提に設計されています。
日本にはいじめ防止対策推進法(2013)があり、学校と自治体に体系的対応を義務づけています。つまり国として「予防・早期発見・対応」を制度化。“社会が求める大人”は、いじめに依存せずに人間関係を築く人です。
【第5の反論】「社会で生きる術=強者の世界」←むしろいじめは職場の生産性を下げる現実
意外ポイント⇒“洗礼”どころか離職・創造性低下・顧客離れのコスト地獄。
職場のハラスメントやincivility(不躾・敵対的言動)は、労働者の努力低下、創造性の萎縮、離職増、顧客関係悪化など企業の損失に直結。データで示されています。
また、職場いじめの被害は将来の離職意図を有意に高めるとする最新メタ分析も。つまり、いじめは“社会適応”の訓練どころか、組織と個人の双方を弱くするのです。
「じゃあ、どう学べばいいの?」──代替の“ちゃんと効く”学び方
- SEL(社会情動的学習):自己認識・共感・対立の建設的解決・アサーティブネスを授業で体系化。学力も上がるので“本当のコスパ”が良い。
- 全校アプローチ(KiVa等):傍観者を「静かな支持者」から「介入者」へ。集団規範を変えるのがカギ。
- 明確な校則・通報・速やかな対応:日本法の要請どおり体系的に。
- ロールプレイ&失敗の安全地帯:ディベート・演劇・部活動・インターンで「嫌われない断り方」「交渉」「合意形成」を練習。
- ピアサポート&相談体制:傍観者を動かす教育で教室全体の安全性が上がる。
質疑応答コーナー
セイジ
「でも、“厳しい現実”に耐えるタフさは必要っすよね??」
プロ先生
そのタフさは暴力や侮辱で作るものではありません。アサーティブな自己主張や感情調整、助けを求める行動は、SELやロールプレイで安全に鍛えられ、しかも学業面の伸びまで付いてきます。コスパで言えば圧勝っす。
セイジ
「“嫌われる動き”を学ぶには、やっぱ実戦(イジメ)で覚えるしかないっすか??」
プロ先生
いいえ。全校アプローチは「加害の見返り」を断ち、介入する傍観者を増やして教室のルールを変えます。その結果、実害と引き換えに学ぶ必要はありません。英国・ウェールズの大規模RCTで被害13%減です。
セイジ
「社会に出たら“理不尽は当然”なんすか??」
プロ先生
企業側のデータだと、不躾・いじめは生産性ダウン・離職アップ・顧客離れの損失要因。だから世界中でハラスメント禁止が進むのです。理不尽に慣れるより、健全なコミュ力と制度で守る時代っす。
まとめ
- 「イジメ=安い訓練」論は、科学・教育・労働の事実に反する⇒コスパ最悪w
- 有効策はSELと全校アプローチ(KiVa等)+制度整備。データはすでに揃ってます。
- “大人の現実”はイジメ撲滅前提。強さは人を傷つけずに鍛える――これが現代の標準です。






































