- 文章力は「人格のネチネチ」ではなく、オープンネス・訓練・読書量で説明できます。
- 「突っかかるほどストレスに強い=良い文章」は誤り。ストレスは認知の柔軟性と創造性を下げがちです。
- 評価軸は「他者が理解できるか」。プレーンランゲージは専門家にも効くと実証があります。
目次
はじめに
「文章がうまい人はネチネチして面倒くさい」という主張は、いかにも“わかりみが深い”空気をまとって拡散しがちですが、冷静に調べると根拠が心もとないです。文章力は、人格のトゲではなく、開かれた経験、地道な練習、そして読みの蓄積で育まれます。さらに、読む側の理解を最大化する書き方が評価されるのが実務の世界です。というわけで、「意外だけど的確」な反論を5つ、キレ味よくまとめます!
反論1:「人格」より“プロセス”だろ!? ⇒ 文章力はオープンネス×訓練×読書量で伸びますw
「ネチネチ人格が文章のうまさを生む」という因果は飛躍です。創造的成果や言語的創造性に一貫して効いてくるビッグファイブ特性は、攻撃的な執着ではなくオープンネス(開放性)です。メタ分析では、創造的達成とオープンネスの関連が最大級で報告されています。
さらに、「うまさ」を支えるのは地味で長期の熟達練習です。エリクソンらは、達人のパフォーマンスが計画的・継続的な練習の集積で説明できると理論化しました。文章も例外ではありません。
そして読書量。語彙・理解・批判的思考は読書によって増強されることが広く示されています。うまい文章の背後には、圧倒的なインプットが横たわります。
- 「性格が悪いから書ける」ではなく「開かれた経験+練習+読書」で書ける、が実証寄りの結論です。
- “ネチネチ”は必要条件どころか、説明変数として弱いですw
反論2:「突っかかれる人=観察力高い」って本当? ⇒ ストレスは認知の柔軟性と創造性を削ります!
「いちいちストレスを感じて突っかかる」ことが解像度を上げる、という語りは気持ちよく響きますが、ストレスはワーキングメモリや認知的柔軟性を損なうとするレビュー・メタ分析が多数です。柔軟性は比喩・構成・編集の可塑性に直結します。
創造性の研究でも、過度なストレスは創造過程(発想の転換・課題切り替え)を阻害し得ると報告されています。「張りつめてるほど切れ味が増す」は一般化できません。
加えて、人間はネガティビティ・バイアスのため、悪い情報の処理に過剰な資源を割きがちです。「突っかかる習性」が思考を歪め、全体像の把握をむしろ阻害するリスクがあります。
- ストレス耐性の自慢は文章の質の保証にはなりません。
- むしろ柔軟性低下⇒冗長・攻撃的・視野狭窄な文章に滑りやすいのがデータです。
反論3:「うまい文章=細かい突っ込みの羅列」じゃない!? ⇒ 評価軸は“読み手の理解”です!
実務や公的コミュニケーションでの評価基準は「読み手が一読でわかるか」です。プレーンランゲージは、専門家を含む読者の理解を高めるという実証が出ています。ユーザビリティ研究でも、簡潔で明快な文は専門家にも有効と示されます。
医療・公衆衛生領域では、平易化版の文章が理解度を有意に上げたランダム化試験も報告されています。つまり「簡潔=幼稚」ではなく「簡潔=有能」です。
- 読者の理解が上がる書き方こそ“うまい”。ネチネチ感は採点基準ではありませんw
- 現場の最適解は「短く、具体的に、構造化」⇒ これが科学的にも支持されます。
反論4:「俺は8000人に奢った(ドヤ)」⇒ そのサンプル、統計的にバグってますw
「経験上」という言い方は説得力があるようで、一般化には致命的です。便宜抽出(コンビニエンスサンプリング)は外的妥当性が低く、母集団へ広げられないのが統計の基本です。
さらに、行動科学ではWEIRD問題(西洋・高学歴・豊かな人々に偏るサンプル)が古典的に指摘されています。偏った接触ネットワークから得た観察は、世界全体の“人柄×文章力”関係を代表しません。人数が多くても、偏りは偏りのままです。
- 「8000人」より「無作為・代表性」のほうが圧倒的に大事です。
- 経験談は面白いが、因果や一般法則の証明にはなりません。
反論5:仕上げは“共感と視点切替”だ!? ⇒ ToM(他者の心の理解)が文の説得力を底上げ!
良い文章は、読者の「文脈」「前提」「つまずき」を先回りします。これは他者の心を推測する力(Theory of Mind)に関係し、研究では文学的フィクションの読書がToM課題の成績を高めると報告されています。共感は“ネチネチ”より強い武器です。
また、フィクション読書習慣と共感・メンタライジングの関連を示すレビューも増えています。多視点の取り込みが文の解像度と納得感を押し上げます。
- 読者の立場を想像できる人ほど、伝わる文を書けます。
- 「人に刺さる」は「人を刺す」とは違いますw
【質疑応答コーナー】
セイジ
ネチネチせずに観察力って鍛えられるんすか??
プロ先生
できます。毎日の「メモ→構造化→要約」で十分です。①事実/②解釈/③感情を分けて書き、最後に「相手が欲しいのは何か」を1行で足す訓練を回すと、突っかからずに解像度だけ上がります。
セイジ
文章を短くすると薄っぺらくなるっすよね??
プロ先生
いいえ。情報量は「文字数×情報密度」です。無駄な修飾を削って、具体データ・因果・比較を残せば密度は上がります。プレーンランゲージの研究でも、短く明確な文のほうが理解度が上がる結果が出ています。
セイジ
批判的に読むクセって、書く力にも効くんすか??
プロ先生
効きます。ただし“攻撃性”ではなく“検証性”です。主張→根拠→反例→再主張の4点チェックを自分のテキストに適用してください。過度なストレスや怒りは柔軟性を落としますから、クールに。
まとめ
- 「ネチネチ人格=文章上手」は科学的根拠に乏しい!鍵はオープンネス・練習・読書です。
- “突っかかるほど強い”は幻想!ストレスは柔軟性と創造性を削り、文章の質を下げがちです。
- 評価軸は「読者の理解」!プレーンランゲージの実証とToMの知見を味方に、伝わる文を狙い撃ちです。









































