- ニュース取材は原則「無償」。謝礼や接待は、独立性を損ねるため各国の倫理規定でNGまたは厳格制限。
- 対価や接待で内容に影響が及ぶなら「Ad」等としての表示義務・編集と宣伝の峻別が必要。
- もし支払うなら税務(源泉10.21%等)・コンプラ運用が発生。「奢りが当然」はむしろリスク。
目次
はじめに
「取材申し込みに“寿司OKなら行きます!”はアリ?」──話題のやり取りに、賛同コメントが並んだようですが、報道の世界の標準から見るとかなりズレがあります。ニュース取材は、情報の独立性と読者の信頼が命。そこで今回は反論5選を、国内外の倫理規定や法制度を踏まえてまとめます。煽りや感情論ではなく、ルールと実務でサクッと整理していきます!
反論5選
① 世界標準:取材対象への「支払い・便益」は原則NG!ニュースの独立が最優先!
- 米・SPJ(プロ記者協会)の倫理コードは、ギフトや便宜の辞退、ニュースへのアクセスのための支払い拒否を明記。編集の独立を守るための基本線です。
- 国際通信社ロイターのハンドブックはさらに明確で、「いかなる場合もニュース記事のために“支払う/受け取る”べきではない」と断言。現金でも現物(食事など)でもダメ、という強い基準です。
- つまり「寿司が出るならOKw」は、世界のニュース実務のど真ん中と衝突。リスペクト以前に、信頼性を壊す懸念が先に立ちます。
② 対価が絡むなら「宣伝」側のルールに寄っていく⇒表示義務&線引きが必要!
- SPJはニュースと宣伝の峻別、スポンサー付きコンテンツの明確表示を求めています。便益(食事・費用等)が内容に影響するなら、読者に分かる形での表示が筋。
- 日本でも2023年10月からステルスマーケティング規制が施行。事業者が関与し、宣伝と分からない表示は景表法違反です。媒体と取材対象者の間で便益⇔露出という関係が生まれ、編集内容に影響が及ぶなら、宣伝表示等の配慮が必要になり得ます。
- 新聞協会の倫理綱領も独立と公正を強調。編集が利害で歪むことを強く戒めています。
③ 「奢りのない取材は無礼!」は逆効果w 贈答・接待はむしろ媒体側のNG事項!
- ロイター基準は贈答・接待の受領や提供に厳格で、ニュース価値がある範囲を超える接待は不可と明記。食事や交通費提供も、例外は管理職の承認付きで厳しく制御されます。
- SPJも贈答や特別扱いの拒否を掲げます。「奢りが敬意」は記者倫理の真逆。敬意=条件なしで事実を語ってもらうことです。
- 実務でも、視聴者提供映像への薄謝乱発が検証の甘さを誘発し、誤報を招いた例が指摘されています。便益は品質低下の誘因になりかねません。
④ 「支払い」を条件にするなら、それはニュース取材ではなく契約・出演・タイアップの領域!
- チェックブック・ジャーナリズム(報酬で証言や独占を買う手法)は、多くの団体が倫理的に問題と位置付け。SPJ倫理委員会は、民主主義や報道の信頼を損なうとまで述べています。
- 辞書・百科でも「報酬と引き換えの独占報道」として定義されています。それは“対等な取材”ではないのです。
- 出演の世界に寄せるなら、表示の明確化・契約・権利処理が必須。安易に「寿司でOKw」は線引きの崩壊を招きます。
⑤ もし本当に金銭や物品提供を求めるなら、税務・コンプラの負担がドン!
- 日本では、原稿料・講演料・謝金・“取材費”名目でも実態が対価なら源泉徴収(通常10.21%)の対象。旅費・宿泊費も扱いに注意が必要です。軽口の「お寿司」で済む話ではありません。
- 媒体側の会計・税務・規程(経費・贈答管理)も絡むため、現場はむしろ避けたいのが実情。手続きの重さは「奢り当然」論を簡単に吹き飛ばします。
質疑応答コーナー
セイジ
取材で謝礼って、海外でも完全にNGっすか??
プロ先生
完全一律ではないけど、ニュース取材の原則は「支払わない・受け取らない」だよ。SPJはギフト・特別待遇を断ること、アクセスのために払わないことを明記。ロイターは「いかなる場合もニュースのための支払いは不可」と断言。例外があるのは移動手段が特殊など、編集判断で厳格に承認されるケースに限られるね。
セイジ
「飯ぐらい出せ」って普通のビジネスマナーじゃないっすよね??
プロ先生
ニュースは営業接待の文脈じゃない。編集の独立が最重要。便益が内容に影響すれば宣伝表示や利害関係の開示が要るし、SPJは「ニュースと宣伝を混ぜない、スポンサー付きは明示」と言ってる。“飯でOK”はむしろ読者への説明責任を生むんだ。
セイジ
「奢りが当然」って言う人に、実務的に刺さる一言って何っすか??
プロ先生
「それ、宣伝扱いと税務処理が要る可能性ありますよ」。支払えば源泉10.21%等の手続き、契約、表示の検討が発生。“寿司でOKw”は、現場にとってコスパ最悪って言えば、だいたい黙るかな。
さいごに—実務で使える“言い回し”
- 「ニュース取材は原則として謝礼・接待を伴いません。編集の独立を守るためです」(SPJ/ロイターの基準に準拠)。
- 「便益が発生する場合は、宣伝表示・開示・契約等の検討が必要です」(景表法のステマ規制・表示の明確化)。
- 「支払うなら源泉徴収等の税務が発生します。軽い“奢り”では済みません」(国税庁の源泉ガイド)。
まとめ
- 「奢り=敬意」ではなく、無償で独立性を守るのがニュースの基本!
- 対価が絡めば「宣伝表示・契約・開示」の土俵へ⇒安易な“寿司OKw”は危険!
- 支払いは税務・コンプラの重荷。実務も読者の信頼も、ノーギャラ原則がベスト!







































