- 値札は実力の証拠ではなく“希望”です。取引の成立と継続こそ能力の証拠です。
- マーケティング=4P/7Pの総合設計で、単発の売り込み(セールス)と別物です。
- 事実を測るならCVR・CPA・LTV・リピート率など客観指標で語るべきです。
目次
はじめに
「このペンを1万円で売ってください」系のお題は、即興セールスの腕試しとしては面白いですが、それを「マーケティング能力の点数」と断じるのは乱暴です。さらに「自分を10万円で売ってる俺こそ最強」と主張するなら、実際の購入者・再購入・紹介・利益まで示さないと事実ベースの評価になりません。本稿では、基本理論と測定指標に基づき、思わずハッとする反論5選をまとめます。煽りや印象論でなく、データでスパっと切ります!
① 値札と売上は別物!「価格の宣言」と「成立した取引」を混同してない?w
「このペンを1万円で――」にせよ「自分を10万円で――」にせよ、値付けは単なる意思表示です。能力を示すのは、実際に誰が・いくらで・何回・どれだけ満足して買ったかという事実です。マーケの世界では、最低でも以下を押さえます。
- CVR(コンバージョン率):見込みから購入に至った割合
- CPA(顧客獲得単価):1人の購入者を得るのにかかった費用
- LTV(顧客生涯価値):その顧客が生涯にもたらす粗利
「10万円で売った」と言うだけではCVRもCPAもLTVも不明です。たとえば1件だけ偶然売れ、原価と宣伝費で12万円かかっていれば赤字です。 売上=価格×数量×継続回数、利益=売上−費用。ここが事実です。値札を高く叫ぶほど強いなら、誰でも最強になれてしまいますよね……w
② それはマーケじゃなくセールスの瞬発芸では?役割の違いを理解しよう!
マーケティングは需要を創り、選ばれる条件を設計する活動です。商品設計(価値)・価格設計・流通(場所)・プロモーションが噛み合うように全体最適を組みます。一方、「目の前の相手に今すぐ買ってもらう」能力はセールスの領域です。「ペン1万円」も「自分10万円」も、問い自体はセールスの即興ショー寄り。だから「俺は10万で売ったから最強マーケ」は論点ずらしです。マーケの実力を語るなら、見込み客の母集団形成→認知→興味→比較→購入→継続に至る再現性を示す必要があります。「一度だけ売れた」は再現性の証明になりません。
③ 4P/7Pでチェックすると穴だらけw ターゲット・場所・証拠がゼロ
基本の4PはProduct / Price / Place / Promotion、拡張の7PはここにPeople / Process / Physical evidenceが加わります。「自分を10万で売る」主張を4P/7Pで点検すると――
- Product(何を):何の成果を、どの品質で、どの納期で提供?
- Price(いくらで):根拠は?比較対象は?返金・保証は?
- Place(どこで):どのチャネルで継続的に獲得?紹介経路は?
- Promotion(どう伝える):証拠・実績・レビュー・事例の提示は?
- People/Process/Physical evidence:対応品質、運用フロー、目に見える証憑は?
どれも空欄なら、マーケ設計の観点では未提出に等しいです。「俺は10万で売れたw」だけでは誰に・どの課題に・どの条件で価値を作ったのか読み取れません。ターゲティングと提供価値の一致が欠けると、たまたまのヒットで終わります。
④ 高価格は“効く”こともあるが、ブランドと証拠が前提!ヴェブレン効果を誤用するなw
「高いほど欲しくなる」ヴェブレン効果は確かに存在しますが、成立には社会的承認・権威・希少性・実績などのシグナルが要ります。ハイエンド腕時計が通用するのは、長年の製造品質・歴史・アフターサービス・限定性といった高コストの証拠を積み上げているからです。「ただの俺が10万」は、シグナルの裏付け(レビュー数、成功事例、資格、保証、返金条件、第三者評価等)が乏しければ、単なる価格の空振りになりがち。高値=強さではなく、高値を合理化する証拠の設計がマーケの腕です。
⑤ 誇大は短命!法・倫理・サステナビリティの観点で即アウト⇒信頼こそ資産
継続的に「売れる」ためには、期待と実際の価値の差を最小化し、口コミ・紹介を生むのが王道です。効能や実績を過大に唱えると、返金・炎上・評判毀損でむしろ獲得コストが跳ね上がります。日本では商品・サービスの表示に景品表示法や各業法の枠組みもあります。短期で1件10万円を取っても、リピート率0%・紹介0件ならLTVは低いまま。逆に適正価格×高満足×再購入×紹介が回れば、単価が中くらいでもLTVが伸びて事業が強い。マーケ最強を名乗るなら、利益と信頼の持続で見せるべきです。
【質疑応答コーナー】
セイジ
結局、値札を高く付けても意味ないって話っすか??
プロ先生
意味がないのではなく、値札だけでは実力の証明にならない、が正確です。購入者・再購入・紹介・利益までそろって初めて「能力」を語れます。高値が通るなら必ず裏付け(証拠・体験・保証・比較)があります。値札は仮説、取引と継続は検証結果っすね。
セイジ
でも、ペン1万円でも「刺さる客」ならアリなんすか??
プロ先生
その通り、セグメント次第では成立します。例えば「記念品×限定×サイン入り×当日中に贈呈」など状況価値を足せば1万円の意味が出ます。大事なのは、誰に・どんな文脈で・何が代替困難かを設計すること。ここを作り込むのがマーケで、当て勘の押し売りとは違います。
セイジ
自分を10万円で売るなら、まず何からやればいいっすよね??
プロ先生
①提供価値を具体化(成果物・納期・範囲)→②証拠を整備(事例・レビュー・保証)→③オファーを設計(成果連動・返金・限定)→④チャネルを決めて継続獲得(紹介・提携・宣伝)→⑤価格根拠を言語化(比較・時間短縮・機会損失の回避)→⑥KPIで検証(CVR/CPA/LTV)です。これを回せば10万円に説得力が出ますね。
【まとめ】
- 値札は希望、能力は「成立・継続・利益」で証明します!
- マーケは4P/7Pの総合格闘技。セールスの瞬発芸とは別物です!
- 高値ドヤより、証拠とLTVで“強さ”を示すのがプロのやり方です!











































