- 「人間扱い」は“尊厳・安全・主体性”の要求であり、「上位男性の待遇」と同義ではありません。
- 実データでは若い女性がSNSで性的ハラスメントの標的になりやすく、「優遇」とは真逆の現実があります。
- 賃金・政治・報道で女性の評価は依然低位。研究は「ベネボレント・セクシズム」の害や認知バイアスも示します。
目次
はじめに
「若い女性は“彼女らの眼中に存在できるレベルの男性”の待遇を求めてるだけ」「若い女性であることで評価されすぎる」――そんな決めつけにモヤッとした人、少なくないはずです。実はこの主張、感覚論に見えて、データや心理学の研究を並べるとほころびが目立ちます。ここでは反論を5選でサクッと解説します。
意外で的確な反論5選
①「人間扱い」は“モテ待遇”じゃない⇒〈尊厳・安全・主体性〉の回復要求です!
「人間扱いされたい」は、特定の“上位男性”が受けるスペシャル待遇を指す言葉ではなく、日常で当たり前に得られるはずの尊厳・安全・主体性を意味します。心理学では、性的対象化が他者の「心(エージェンシー)やモラル」を見えにくくし、人としての扱いを低下させる現象が確認されています。つまり「人間扱い」要求は、対象化で剥がされた人間性を取り戻したいというごく真っ当な主張です。
②SNSの現実:「若い女性は“優遇”される」どころか、被害が重いケースが目立ちます!
- Pew Researchの全米調査では、女性は男性より性的ハラスメントを受けやすく、特に若い女性で顕著でした。女性全体の16%、35歳未満では33%がオンラインで性的嫌がらせを経験と回答。優遇どころかリスクが高いのが実情です。
- Amnesty Internationalの「Troll Patrol」は、Twitter(現X)で女性が大量の攻撃・差別的投稿の標的になっている事実を示しました。特に有色人種女性への攻撃が多いという交差性の問題も。
「熱心にXをやっている我々が受けている扱い=女性も望んでいる」論は、そもそも女性が直面する被害の質を見落としているのです。
③実社会の数字:賃金・政治・報道で“過小評価”が続く現実w
- 賃金:厚労省「賃金構造基本統計調査(2024)」によれば、一般労働者の女性賃金は男性を100とした場合75.8。差は1976年以降で最小とはいえ、まだ約24%の開きです。若さで「過大評価」どころか、懐具合は追いついていません。
- 総合指標:WEF「ジェンダー・ギャップ指数2024」で日本は118位/146。G7最下位水準が続き、「評価されすぎ」論に根拠薄。
- メディア露出:世界的にニュースの情報源のうち女性は約24%に過ぎないと報告。専門家評価や起用に偏りが残ることが、「見えにくさ」=評価の低さにつながります。
④「若さで褒める」優しさ、実は罠⇒ベネボレント・セクシズム
「若い女性だから評価する」という一見ポジティブな扱いは、心理学でいうベネボレント・セクシズムに該当しがちで、専門性や意思決定から遠ざける作用を持ちます。Glick & Fiske(1996)らの研究は、好意的に見える規範が女性の役割を固定化し、キャリアや発言力をむしろ制限する可能性を示しました。
また、リーダー役割と女性性の不一致から評価が下がるというロール・コングリュイティ理論も確立。若さや見た目への称賛が強い場ほど、「能力の評価」から遠のく危険があります。
⑤あなたのTL、世界代表してないw⇒〈観測範囲のバイアス〉に注意
ソーシャルメディアはホモフィリー(似た者同士が集まる)が強く、エコーチェンバー化しやすいことが数多く示されています。つまり、自分のタイムラインでよく見る現象=世の中の全体像とは限りません。「若い女性は過剰評価されている」と感じる背景に、集団やアルゴリズムの偏りがある可能性は高いのです。
質疑応答コーナー
セイジ
やっぱ「女性は若さで得してる」って事実もあるんすか??
プロ先生
「見た目の恩恵」は場面限定です。対象化が強い場ほど一時的に注目は集まっても、権限・報酬・安全の面では不利が積み上がりやすいと、賃金やハラスメントのデータが示します。長期的には能力評価の欠落というコストが大きいっすね。
セイジ
「人間扱い」って、要は「チヤホヤしてほしい」ってことっすよね??
プロ先生
違います。チヤホヤではなく尊厳・安全・主体性の確保です。対象化は人の「心」を軽く見積もらせる傾向があり、そこからの回復要求が「人間扱い」です。モテ待遇とは別物っす。
セイジ
でも俺のTLでは「若い女性すごい得してる」的な空気が多いんすよ。やっぱ本音はそうなんすか??
プロ先生
それは観測範囲のバイアスの可能性が高いです。SNSは似た価値観が集まりがち=ホモフィリーで偏ります。世界の全体像を見るには、データや多様な情報源に当たるのが吉っす。
まとめ
- 「人間扱い」は“上位男性の待遇”の別名ではなく、尊厳と安全と主体性の要求!
- 数字は「若い女性が優遇」より、「被害・過小評価・見えにくさ」の継続を示す!
- タイムラインの感覚より、客観データと研究で話そう⇒誤解は秒で解けます!