- 要点①:「同棲や交際の実態データは“普通にある”」――公的統計と民間調査で確認できます。
- 要点②:「結婚してみないと分からない」は言い過ぎ――結婚前の行動・コミュニケーションは後の満足や安定をかなり予測します。
- 要点③:「カップルは都合のいい関係」は偏見――良質な関係は健康や幸福と関連、日記法・録音法で日常の振る舞いも観察済みです。
目次
はじめに
「同棲期間の情報なんてない」「結婚してみないと分からない」「カップルはイイとこ共有だけの都合いい関係」――どれも勢いはありますが、データと研究を並べると現実はだいぶ違います。ここでは、日本の公的統計とレビュー論文など“手堅い情報源”に沿って反論を5つに整理。感情論よりファクトでいきます。
反論1:「同棲期間って情報ない」⇒ 公的統計も民間調査も“ふつうにある”w
■ 日本の基礎データ:未婚者の同棲経験は年齢帯で着実に把握されている
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」は、未婚者の同棲経験(過去または現在)を年齢別に継続把握。直近の第16回では、18~34歳の未婚者全体で男性6.4%、女性8.2%。20代後半では男性10.9%、女性12.9%と明記されています。つまり「情報がない」どころか、年齢帯の推移まで見える定点観測です。
■ 交際~結婚のタイムラインも出ている
同じ調査は「平均交際期間」も公表。過去5年以内に結婚した初婚同士の夫婦で、平均交際期間は約4.3年という安定した値。まず“どれくらい付き合ってから結婚しているか”の全体像が把握できます。
■ 民間調査の補助線:「結婚前の同棲の長さ」も把握できる
20~30代の共働き既婚者1000人への最新ネット調査では、「結婚前に同棲していない」は37.8%で、同棲した人の同棲期間は平均0.7年(約8か月)という結果。民間調査は標本の偏りに注意が必要ですが、「同棲の長さ」の目安としては有益です。
■ 海外の基礎知識:米国では“結婚前同棲はほぼ標準”
米国の家族研究センター(BGSU)は、全国家族成長調査(NSFG)に基づき「結婚前同棲は現在では標準的な経路」と整理。ピューの大規模調査も、未婚カップルの同棲容認が多数派と示しています。つまり、国際的にも「データがない」は成り立ちません。
反論2:「結婚してみないと分からない」⇒ 結婚“前”のサインはかなり当たる!
■ 日本の平均交際期間は約4.3年
いきなり入籍して未知の世界に飛び込む――ではなく、多くのカップルは数年の交際を経て結婚しています。長期の相互観察が行われているからこそ、価値観・お金・家事・将来像の整合が見える。数字が示すのは「盲目結婚」ではない現実です。
反論3:「カップルはイイ部分の共有だけの都合いい関係」⇒ データは“健康・幸福”との関連を示す
■ メタ分析:良質な関係は健康指標と中程度に関連
心理学の総説では、夫婦・パートナー関係の“質”が、主観的健康から血圧などの生体指標、さらには死亡率にまで関係することがまとめられています。効果量は健康行動(運動・食)の関連と同程度とされ、単なる「都合のいい関係」では説明できません。
※因果は双方向の可能性もありますが、「良質な関係=健康に資する」パターンは一貫して観測されています。
反論4:「8000人に奢った経験がソース」⇒ それは“逸話(アネクドート)”、統計じゃないw
■ 個人の体験と科学的知見の差
「自分はこう見た」は重要な出発点ですが、母集団を代表する保証はありません。観測の場が偏っていれば、偏った結論になります。だからこそ、調査は無作為抽出や層化などでバイアスを制御し、継続的に同じ指標を追います。反証可能性のある指標(交際期間、同棲経験、会話パターン、健康指標など)が積み上がるほど、結論の信頼性は上がります(上の反論1~3参照)。
反論5:「関係にならないと出てこない性質は研究できない」⇒ 毎日記録&自然録音で“普段どおり”を観察できる!
■ デイリーダイアリー(経験サンプリング)
カップルがその日その時の気分・衝突・親密さをスマホ等で日次報告する手法は古典的。日々のポジ感情が親密さを底上げするなど、“日常の波”が関係の質を動かすことが実証されています。
■ EAR(自然環境録音)という“ながら観察”
一定間隔で生活音の断片を録る「EAR」は、外野の目を入れずに自然な会話・沈黙・笑いを切り出す方法。負担やプライバシー配慮も検討され、家庭内コミュニケーションの“素の姿”を記述する研究が蓄積しています。
質疑応答コーナー
セイジ
結局、同棲は長ければ長いほど結婚うまくいくっすか??
プロ先生
「長さ」単独ではなく、どう決めたか(決めて進んだのか・流されたのか)や、日々の対話の質が重要です。スライド型の同棲は不利になりがち、合意と計画のある同棲は問題になりにくい――という知見が出ています。
セイジ
「結婚前の行動で予測できる」って、オカルトじゃないっすよね??
プロ先生
オカルトではなく観察研究です。交際期間の長さ(日本で平均4.3年)や、会話パターン・感情表出(四騎士)は、その後の満足や持続と関連します。実験室&日常の双方で再現されています。
セイジ
「カップルは都合いいだけ」って、健康とかに効く根拠あるんすか??
プロ先生
関係の“質”がポイント。良質な関係ほど主観的健康・生理指標・死亡率まで良い方向と関連するというメタ分析があります。もちろん因果は一方向と断定できませんが、軽視できない関連です。
まとめ
- 「同棲・交際の実態」は公的統計と民間調査で可視化済み⇒「情報ない」は×。
- 「結婚してみないと分からない」は言い過ぎ⇒結婚“前”の行動や意思決定の質が後を予測。
- 「都合のいい関係」では説明不能⇒良質な関係は健康・幸福と関連し、日記法やEARで日常も測れる。
最後に:勢いある主張は楽しいですが、社会の実態は数字が雄弁。煽りはほどほどに、データで語るのがいちばん強い…ですよね!?w


































