- 「シラフで記憶が飛ぶ」は、それ自体がかなり危険なサインであり、酒の安全証明にはまったくなりません。
- アルコール性ブラックアウトには医学的な条件とリスクがあり、「観測できないからセーフw」は論理的にも事実としても破綻しています。
- ツッコミどころ満載の理屈ですが、責めすぎず、現実を伝えて支援につなげる反論が大事です。
目次
はじめに
「浮浪者の友人が『お酒で記憶飛ばしたことない・破滅したことないけど、そもそもシラフで記憶飛ばしてる・破滅してるから、観測できてないだけ説が浮上』と言っていた」というお話は、インパクトはありますが、よく考えるとツッコミどころ満載です。笑い話で済めばいいのですが、「記憶が飛ぶ」「破滅している」という表現は、医学的・社会的にはかなり重たいサインでもあります。本記事では、冗談のノリを保ちつつも、事実に基づいた反論を5つご紹介します。
5つの反論
①「観測できない=起きてない」わけじゃないw ― 現実はちゃんと残ってます
友人の理屈は、「自分が覚えていないことは起きていないのと同じ」という前提に立っています。しかし、これは完全に間違いです。 たとえば、防犯カメラにばっちり映っている行動、周囲の人の証言、銀行口座の残高、怪我の痕、壊れたスマホ…。これらは本人の記憶とは無関係に残る“現実の記録”です。
◆反論例
「お前が覚えてなくても、財布の中身と身体のアザと周りの証言という“観測データ”は残るからなw」 「そもそもシラフで記憶飛んでるなら、それ自体が“破滅フラグ”立ってるって気づこうぜw」
つまり、「シラフで記憶が飛ぶから、酒のせいじゃない」というよりも、「シラフですら記憶が飛ぶレベルで危険なんだから、酒を足したらもっと危険」が正しい理解です。
②アルコール性ブラックアウトには医学的条件がある ⇒ 「俺は大丈夫w」は根拠なし!
お酒で記憶が飛ぶ「ブラックアウト」は、医学的には脳の海馬(記憶の司令塔)へのアルコールの影響で、新しい記憶が保存されなくなる現象だと説明されています。 ・短時間に大量飲酒をする
・血中アルコール濃度が急上昇する
などで起こりやすく、若い人や体格の小さい人、空腹で一気飲みした人に多いとされています。
そして重要なのは、「今までブラックアウトしてない=今後も絶対にしない」ではないことです。 ・年齢
・体調
・薬との飲み合わせ
・ストレスや睡眠不足
といった条件が変われば、これまで平気だった量でも突然ブラックアウトする可能性があります。
◆反論例
「ブラックアウトって“運良くまだ当たってないロシアンルーレット”みたいなもんで、『今まで大丈夫w』は全然セーフ判定じゃないぞw」 「むしろシラフで記憶飛ぶほうがリスク高くて、酒足したら普通に“倍プッシュで危険”なんだがw」
③「シラフで記憶飛ぶ」は別の問題のサイン ⇒ 酒どころじゃない危険信号…!?
「そもそもシラフで記憶飛んでる」と本人が言うなら、それはアルコール以前に医療的な相談レベルの可能性があります。 ・解離症状(ストレスで記憶が抜け落ちる)
・てんかん、睡眠障害などの神経疾患
・重度のうつやPTSDなど精神的な問題
などでも断片的な記憶の欠落は起こりえます。
さらに、「破滅してる」と自称するような生活(住む場所が安定しない、極端な貧困、暴力や事件に巻き込まれやすい環境)は、それ自体が脳と心に大きなストレスを与えます。 その結果、記憶や判断力、集中力が落ちる悪循環が起きてもおかしくありません。
◆反論例
「シラフで記憶飛ぶって、笑いごとじゃなくて一回病院案件なんだよな…。酒セーフとか言ってる場合じゃないw」 「“俺はもう破滅してるからOKw”じゃなくて、“だからこそ今以上に壊さないためにケア必要”なんよ」
つまり、ここで必要なのは「論破して黙らせる」ことではなく、状況を軽視しないで専門家に相談するよう促すことです。
④「破滅してるからノーダメw」は自己防衛のジョーク ⇒ でも現実のダメージは残る
「もう破滅してるからこれ以上失うものないw」という言い方は、一見自虐ネタですが、心理学的には自己防衛の一種とも考えられます。 ・今のつらい状況を笑い話に変える
・「どうせ自分なんて」と先に言っておくことで、他人から傷つけられる前に自分で落としておく
こうしたメカニズムは、短期的には心を守る機能もあります。
しかし問題は、現実のダメージは笑い飛ばしても減らないことです。 ・健康状態の悪化(肝臓、心臓、脳など)
・事故や事件に巻き込まれるリスク
・対人関係や信頼の喪失
これらは「ノーカンw」と言ったところでリセットされません。
◆反論例
「“破滅してるからこれ以上マイナスないw”って言うけど、体と命はまだ残ってるからな? ゲージまだゼロじゃないぞw」 「ジョークでごまかすのはアリだけど、現実のダメージはちゃんとカウントされてくから、そこだけは勘違いすんな」
⑤責めるより「一緒に現実を見る」反論⇒関係を壊さず伝えるコツ5つ
とはいえ、ただ論破しても関係がギスギスするだけです。事実は伝えつつ、相手を見捨てない姿勢が大事です。 次のようなポイントを意識すると、関係を壊さずに現実を伝えやすくなります。
- ①「お前のこと心配してる」スタンスを最初に示す(攻撃じゃなく心配だと伝える)
- ②「俺目線の話なんだけど」と主観として話す(説教ではなく意見として)
- ③ 実害の具体例を出す(財布・健康・人間関係などの“被害実績”)
- ④ 無理に変えさせようとしない(選ぶのは本人だと認める)
- ⑤ 相談窓口や支援情報をさりげなく共有する(病院・支援団体・福祉サービスなど)
◆反論例(柔らかめバージョン)
「ネタにしてるのわかるけど、正直ちょっと心配なんよ。シラフで記憶飛ぶのは笑えんラインだから、どっか相談だけでも行かん? 付き添うくらいなら全然するぞ」
このように、事実はハッキリ・口調はソフトにがコツです。
■質疑応答コーナー
セイジ
シラフで記憶飛ぶって、もうその時点で相当ヤバいってことっすか??
プロ先生
はい、かなり注意が必要なサインです。強いストレスやトラウマ、睡眠不足、てんかんなどの病気、薬の影響など、いろいろな原因がありえますが、どれも「放っておいてOK」とは言いにくいものです。記憶が抜ける頻度が増えたり、怪我をしていたり、周りから様子がおかしいと言われる場合は、早めに医療機関や相談窓口で話を聞いてもらったほうが安全です。
セイジ
お酒で記憶飛ぶのって、みんな通る“武勇伝”みたいに語る人もいますけど、普通に危険行為ってことっすよね??
プロ先生
そうですね、武勇伝として笑い話にする文化はありますが、医学的にはかなり危険なサインです。脳が「これ以上は無理」と悲鳴を上げている状態なので、毎回ブラックアウトするような飲み方を続けると、長期的な脳機能の低下や依存症のリスクが上がります。
セイジ
友達が自虐っぽく『もう破滅してるから何しても同じw』って言うとき、どう声かけするのがベターなんすか??
プロ先生
まずは「本気でそう思ってるのか、冗談半分なのか」を見極めることが大事です。相手の自己否定をそのまま肯定せず、「あなたには価値がある」と伝えつつ、行動のサポートを申し出るのがポイントですね。
■まとめ
- 「シラフで記憶飛んでるから酒はセーフw」という理屈は、論理的にも医学的にも完全に破綻しています。
- シラフでも酒でも記憶が飛ぶのは、どちらも「笑って済ませず専門家に相談したほうがいい」レベルの警告サインです。
- 責めるより、「心配している」というスタンスで事実を伝え、必要なら相談窓口や支援につなげることが大切です。
冗談っぽいセリフの裏に、けっこう深刻なサインが隠れていることもあります。笑い飛ばすだけでなく、現実もちらっと一緒に見てあげられると優しいですね。







































